★゜・。。・゜゜・。。・゜☆ 2007年02月22日 ☆゜・。。・゜゜・。。・゜★
東野圭吾~手紙
東野圭吾さんの作品は、他には、ドラマ化された『白夜行』と、直木賞受賞作品『容疑者Xの献身』、そして『赤い指』を読んだことがあります。どれも秀作ですが、この『手紙』は、その中でも一番心に残りました。
最初、兄弟愛を描いた作品かと思いながら読んでいましたが、テーマは「偏見と差別」といったところでしょうか。それを象徴するかのごとく、あの名曲が効果的なメタファーとして使われているのが印象的です。
物語は、弟思いの剛志が、意図せず老婆を殺してしまう場面から始まります。実は『赤い指』を読んだとき、「『容疑者~』のパクリではないか」と思ってしまったので、正直、「またこのパターンか」とも思いましたが、さすがは東野圭吾。その後、読者に大いなる難問を投げかけるのです。
兄への複雑な思いを抱きつつ、進学、就職、恋愛など、必死に生きる弟の直貴。しかし、成功まであともう一歩、というところで「犯罪者の弟」という動かし得ぬ事実に行く手を阻まれる。読者は、兄から届く「ほのぼの」とした手紙に、次第に怒りを覚え、直貴に感情移入してゆきます。そして彼は、一大決心を……。
とにかくストーリーがリアルなんですよね。いつ自分が事件の被害者になるか分からないし、加害者にもなり得る。あるいは身近な人間になるかも知れない。「そんな時、君ならどうする?」と筆者から問いかけられているようです。誰もが差別を嫌い、偏見を醜いものだと思っていながら、果たして潔癖な人間など存在するのだろうか?自分ならどうするだろうか?と考えずにおれませんでした。 視線を内側に向ければ、否定しきれない偽善的な自己、そして理想と現実のギャップを見せつけらるようです。
この作品の登場人物は、皆、一生懸命、幸せを求めて生きています。特に、直貴は人一倍強く、逞しく自分の道を切り開いて進んでいるのです。しかし兄の犯した罪が弟にも影響を及ぼしてしまうのは、理不尽とは思いつつも、これが現実なのかと認めざるを得ません。 誰もが幸福を求めて生きているのに、そうなれない人間が出てしまうのはなぜか? 人の幸・不幸は何によって決まるのか? 差別や偏見のない社会など、実現可能なのか? そもそも幸福とは一体何なのか?
色々考えさせられる『手紙』でした。東野圭吾も難しいテーマに果敢に取り組んでいるなあ、とその執筆意欲に頭が下がるばかりです。(作品の多さにも)
ちなみに私はこちらの装丁の方が好きですが、兄貴の文章が見える方も捨てがたいですね。温かみのある文字が、怒りのやり場を見失わせてしまう……(涙)
(参考) パンドラさんのブログ よしさんのブログ 扉のむこう 沖縄日和 知り合いの紹介で、高森顕微さんという人の『光に向かって123のこころのタネ』を読みました。その中に、 草木は、平等に降り注ぐ雨を、不平等に受けて、平等に生きる。 という言葉を見つけました。なるほど。それは確かにそうだ。「大きな木も小さな草も、同じ雨量を受けたらどうだろう。余分な水で枯れる草木もあろうし、水分不足で枯死するものもあろう」とは全くその通りですね。
また、 〝平和が大嫌い〟と言っている者が、戦争を始めるのではない。世界の歴史を見ると、平和を強く叫んでいた者が、人殺ししたり戦争を起こしている。 という文章もあり、考えさせられました。
「差別と偏見」「自由と平等」「戦争と平和」など、考えれば考えるほど、分からなくなってしまいます。人間存在そのものの意義から哲学的に考察する必要があるのかもしれません。 高森さんは『なぜ生きる』という本も監修されているみたいだけど、機会があったら読んでみたいと思います。
う~ん、一筋縄ではいかないテーマへと発展しそうです。
(’~`)
最初、兄弟愛を描いた作品かと思いながら読んでいましたが、テーマは「偏見と差別」といったところでしょうか。それを象徴するかのごとく、あの名曲が効果的なメタファーとして使われているのが印象的です。
物語は、弟思いの剛志が、意図せず老婆を殺してしまう場面から始まります。実は『赤い指』を読んだとき、「『容疑者~』のパクリではないか」と思ってしまったので、正直、「またこのパターンか」とも思いましたが、さすがは東野圭吾。その後、読者に大いなる難問を投げかけるのです。
兄への複雑な思いを抱きつつ、進学、就職、恋愛など、必死に生きる弟の直貴。しかし、成功まであともう一歩、というところで「犯罪者の弟」という動かし得ぬ事実に行く手を阻まれる。読者は、兄から届く「ほのぼの」とした手紙に、次第に怒りを覚え、直貴に感情移入してゆきます。そして彼は、一大決心を……。
とにかくストーリーがリアルなんですよね。いつ自分が事件の被害者になるか分からないし、加害者にもなり得る。あるいは身近な人間になるかも知れない。「そんな時、君ならどうする?」と筆者から問いかけられているようです。誰もが差別を嫌い、偏見を醜いものだと思っていながら、果たして潔癖な人間など存在するのだろうか?自分ならどうするだろうか?と考えずにおれませんでした。 視線を内側に向ければ、否定しきれない偽善的な自己、そして理想と現実のギャップを見せつけらるようです。
この作品の登場人物は、皆、一生懸命、幸せを求めて生きています。特に、直貴は人一倍強く、逞しく自分の道を切り開いて進んでいるのです。しかし兄の犯した罪が弟にも影響を及ぼしてしまうのは、理不尽とは思いつつも、これが現実なのかと認めざるを得ません。 誰もが幸福を求めて生きているのに、そうなれない人間が出てしまうのはなぜか? 人の幸・不幸は何によって決まるのか? 差別や偏見のない社会など、実現可能なのか? そもそも幸福とは一体何なのか?
色々考えさせられる『手紙』でした。東野圭吾も難しいテーマに果敢に取り組んでいるなあ、とその執筆意欲に頭が下がるばかりです。(作品の多さにも)
ちなみに私はこちらの装丁の方が好きですが、兄貴の文章が見える方も捨てがたいですね。温かみのある文字が、怒りのやり場を見失わせてしまう……(涙)
(参考) パンドラさんのブログ よしさんのブログ 扉のむこう 沖縄日和 知り合いの紹介で、高森顕微さんという人の『光に向かって123のこころのタネ』を読みました。その中に、 草木は、平等に降り注ぐ雨を、不平等に受けて、平等に生きる。 という言葉を見つけました。なるほど。それは確かにそうだ。「大きな木も小さな草も、同じ雨量を受けたらどうだろう。余分な水で枯れる草木もあろうし、水分不足で枯死するものもあろう」とは全くその通りですね。
また、 〝平和が大嫌い〟と言っている者が、戦争を始めるのではない。世界の歴史を見ると、平和を強く叫んでいた者が、人殺ししたり戦争を起こしている。 という文章もあり、考えさせられました。
「差別と偏見」「自由と平等」「戦争と平和」など、考えれば考えるほど、分からなくなってしまいます。人間存在そのものの意義から哲学的に考察する必要があるのかもしれません。 高森さんは『なぜ生きる』という本も監修されているみたいだけど、機会があったら読んでみたいと思います。
う~ん、一筋縄ではいかないテーマへと発展しそうです。
(’~`)
関連記事かも?
- 東野圭吾 / 時生
- 手紙(山田孝之・玉山鉄二・沢尻エリカ:主演、東野圭吾:原作)
- 東野圭吾 / 赤い指
- 白夜行(山田孝之・綾瀬はるか:主演、東野圭吾:原作)
- ガリレオ(福山雅治、柴咲コウ:主演、東野圭吾:原作)
関連記事は無いと思います。





東野圭吾【手紙】
山田孝之、玉山鉄二、沢尻エリカの出演で映画化された作品。山田孝之はTBSが東野圭吾の【白夜行】をドラマ化したときも出演しており、めっきり東野圭吾づいている。本書を読みながら「なんか【白夜行】っぽい」と感じ
SECRET: 0
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こんにちは、お邪魔します。
上品で良いブログですね。
東野圭吾さんは、
初期の「放課後」、「眠りの森」、
「鳥人計画」あたりが好きですね。
あまり話題にならなかった
「天空の蜂」って傑作だと思うんですが。
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なるほど、そう聞くと『天空の蜂』を読みたくなります。
今、山崎豊子さんの『華麗なる一族』を読んでおり、その後、奥田英朗さん『東京物語』、そしてドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』と予定が入っているので、随分先の話になりますが……
(^^;ゞ
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もしかして光文社の古典新訳文庫ですか?
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そうですそうです!光文社のは読みやすいということで評判なので。まだ訳が途中だそうですが。
ロシアの作品は固有名詞が難しいので、まずは光文社から挑戦してみようという訳です。
そういえば、メタル馬鹿一代さんは「Holy Dragons – ПОЛУНОЧНЫЙ ГРОМ」をレビューしておられましたが、なんだかそそられました。でも、フツーに良いアルバムですか。
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このシリーズ、作品のセレクションも面白いし
出版社側もけっこう気合が入ってる感じですね。
Holy Dragonsは、一時期、
輸入盤をけっこうみかけたので、
入手はそんなに難しくないはずです。
でも、無理して探して買うほどのものでは…?
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では、Holy Dragonsは財布と相談して決めます。
カラマーゾフは「世界最高峰文学」と聞きますので、期待大です。
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http://stavrovsky.blog.ocn.ne.jp/cafe_mayakovsky/
が、光文社版『カラマーゾフの兄弟』翻訳者のブログだそうです。