- 2007-03-01 (木) 15:15
- モーツァルト
モーツァルトに名曲は数多くありますが、私は、中でもこれが非常に好きです。表面的には明るい曲調なのに、全体的にどこか寂寥に満ちた感じがするところに魅力を覚えます。寂しく、悲しい、暗い曲といえば、交響曲の25番や40番、ト短調の弦楽五重奏曲などが秀逸ですが、この協奏交響曲もなかなかの名曲だと思います。
彼は天才なるが故に、凡人に認められない憂苦を抱えていたのではないでしょうか。映画『アマデウス』は、凡人の苦しみが描かれていますが、同時に天才の苦悩も感じずにおれません。そのフラストレーションを曲にぶつけた結果が、上記のような名曲となったのかも知れません。
さて、この協奏交響曲ですが、独奏楽器はヴァイオリンとヴィオラ。日頃ヴィオラを好んで弾いていたモーツァルトはこの曲にある仕掛けをします。その仕掛けとは……
- 独奏ヴァイオリンとヴィオラはほとんど同じ旋律を、まるで競い合うように弾き合う
- ヴィオラの調性を上げ(つまり半音上げチューニング)、ヴァイオリンに劣らぬ響きを出し、存在感を持たせる
これにより、どんな効果が生まれたのか?これこそモーツァルトによる無言の上司批判!だったのです。
当時、ザルツブルクでコンサートマスターを努めていたモーツァルトは、雇い主である大司教コロレドと犬猿の仲でした。というのも、自由に、新しい発想で音楽をやりたいと思っていた天才モーツァルトにとって、彼の深い芸術性を理解してくれないコロレドは、目の上のたんこぶでしかなかったのです。しかも彼は、ブルネッティというヴァイオリニストが大変お気に入りで、ことある毎に彼を誉め、モーツァルトの芸術には目もくれないのです。
息子を案ずる父レオポルドの手前、表だってケンカをすることも出来ず、モーツァルトは、ブルネッティのヴァイオリンと自分のヴィオラを比較させることによって、歴然とした実力の差を見せ付け、コロレドの鼻を明かそうとこの曲を書いた、という訳なのです。
人は「天才」を羨み、あこがれますが、「変人と紙一重」と言われるように、一般人に理解されない宿命を背負わねばならないのも現実のようです。
作家であれ、芸術家であれ、どんなに自信があっても自分の作品が認められないと、悲しいものですよね。下手すると創作意欲の低下につながりかねません。
「私の時代が来る」と言って、死後評価が高まったマーラー然り、天才とは悲しき存在なんですね。
その点、他人の批評をひどく気にして何度も加筆修正したブルックナーは、可愛らしく愛着を感じてしまいます。
(参考)
Mozart con grazia
ウィキペディア
うっちいの音楽箱!
コロレド大司教はホントに悪者?
少年少女のためのモーツァルト物語
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