佐藤尚之 / 明日の広告 変化した消費者とコミュニケーションする方法

 かなり具体的、分析的に書かれていますが、ひとことで言うと、消費者(ユーザー、読者、オーディエンス)主権の時代になっているから、これからの広告は、消費者本位の発想で作るべきだという内容です。
 今までは、広告を流すメディアと言えば、4大マスメディア(テレビ・ラジオ・新聞・雑誌)が主流でしたが、今や、ネットやケータイ、フリーペーパーやフリーマガジン、iPod、Wiiやプレステ、DSなどのゲーム機、DVDなど多岐にわたっており、4マスに広告を打ってさえおれば見てくれる時代ではなくなりました。
 しかし、だからといってそれらが完全に威力を失ってしまった訳ではありません。テレビにはテレビの優位性がありますし、長距離ドライバーなどは、例えばラジオこそが最大の情報源となります。
 要は、各種メディアを偏りのないニュートラルな関係としてとらえ、伝える対象に応じて最適な広告手段を講じることが大切なのです。
 ネットはメディアというよりは液体に近く、各メディア(コンタクト・ポイント)は細胞のようにそこに浮かんでいる。消費者に伝わるならどんなメディアを使ってもよく、メディアはネットによって自由自在に結び付けられている。
 これが著者の考える理想的なキャンペーンの形です。
 様々なメディアを総合的に活用するには、作り手が消費者としての面白味を体験し、その喜びを共有したいという思いで楽しむ感覚が必要なのではないでしょうか。
 以下、本書の内容をまとめてみました。
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【第1章 消費者へのラブレターの渡し方】
  • 広告の主流が4大マスメディアだった時代が変化してきている
    • ラブレターが(広告)相手の手に渡りやすかった    ↓   ラブレターが相手の手にわたりにくくなった
    • 他に楽しいことが少なかったので、ラブレターはとても喜ばれた    ↓   他に楽しいことが山とあり、相手はラブレター自体に興味をなくしている
    • 渡したラブレターを相手がちゃんと読んでくれた    ↓   ラブレターを読んでくれたとしても、口説き文句を信じてくれなくなった
    • しかもラブレターを友達と子細に検討し、友達に判断を任せたりする
  • モテないひとはどうやってラブレターを渡せばいいか
    • 相手の趣味や行動を調べ、よくよく観察し、相手の身になってみる
    • その上で相手の行動を先読みして待ち伏せし、確実にラブレターを手渡す
    • 他の楽しいことに目がいかないように、感動的なラブレターで口説く
    • 相手の友達にも気に入られるよう十分ケアする

  • ラブレターは渡したあとも大事
    • ラブレターを渡したあと、脈がありそうなら、すかさずもうひと押し
    • つきあいが始まったあとも気を抜かず、細やかに気を遣う
    • つきあっててもライバルは次々現れ、相手は友達と相談していることを忘れずに
    • 長くつきあうためには、イイトコロだけでなく、欠点も公平に見せていくこと


【第2章 広告はこんなにモテなくなった】
  • 消費者の逆襲としてのインターネットの普及により、消費者がヨコにつながり、「商品のスッピンの姿」を教えあうようになった。
  • 若者を中心に30代中盤くらいまでの、いままで消費活動の中心にいた人々は、毎日様々なメディアを渡り歩き、広告には常に疑いの目を向けている、彼らにとって信頼できるメディアとは「友達・好きな人・信頼できる人」である。
  • 長く従順な「情報の受け手」だった消費者は、ネットを介して発信者、つまり「情報の送り手」になり、彼ら自身にとってもっとも信頼できるメディアのひとつになりつつある。


【第3章 変化した消費者を待ち伏せる7つの方法】
  • (1)消費者のコンタクト・ポイントで待ち伏せる
  • (2)新しいメディアを創って待ち伏せる
  • (3)クチコミを利用して待ち伏せる
  • (4)CGM(Consumer Generated Media:消費者が作ったメディア)で待ち伏せる
  • (5)エンターテイメントの中で待ち伏せる
  • (6)検索結果で待ち伏せる
  • (7)メディアをニュートラルに考えてクロスに待ち伏せる


【第4章 消費者をもっとよく見る】
  • そもそも「相手がどういう行動をするか」を知らなければ待ち伏せできない。相手をもっともっとよく知らないと、待ち伏せテクニックも使えないのである。
  • 商品理解と並んで、売りたい相手を理解することをもっと重視すべきだ。
  • 商品の情報を伝えてもらいたがっている人をリアルに想像する。


【第5章 とことん消費者本位に考える】
  • 大切なのは手法ではなくて、相手のことをとことん考えるという姿勢なのだ。
  • 伝えたい相手、いや「伝えてもらいたがっている読者たち」に確実に伝えて喜んでもらいたかった。
  • 伝えたい相手のことをとことん考えてコミュニケーションを設計した人たち全員が、最後まで、細部まで、クオリティの責任を持ってやりきるべきなのだ。
  • テレビCMみたいに一度に何百人に伝えることはできないけど、ひとりでもふたりでも、心の奥まで伝わったのなら、それに勝ることはない。たぶんボクたちは「広く伝えること」とはまた違う「深く伝えること」の喜びと意味をこの3日間で知ったのだと思う。
  • キャンペーンから学んだこと
    • 初動に時間をかける。伝えたい相手はどんな人たちなのか、これをしっかりと決める
    • 自分たちが「伝えたい相手」になってみる
    • 商品は消費者のものであるという発想
    • 相手が一番望んでいることをするという考え方
    • 伝えたい相手にだけ伝えるというスタンス
    • 相手を巻き込み、参加してもらうことの大切さ
    • すごく大変だが、コミュニケーション・デザインをやり抜く



【第6章 クリエイティブの重要性】
  • 広告とは相手の心を表現で動かすものでないといけない。相手を感激させなければラブレターとは言えないのだ。
  • 圧倒的に差がある市場順位をひっくり返すような価値変容を消費者の心に起こすこと。それが広告なのである。
  • 消費者は頭を働かせて広告なんか見てくれない。それどころか頭のスイッチをオフにしているときに偶然出会うのが広告なのである。そういうときに消費者の共感や感激を得るためには、スイッチをオフにした彼らでもわかるような、ハードルの低い表現でせまらなければいけない。
  • ネットの登場でヨコにつながった消費者たちは、実際に購入した人を中心に、その分野に詳しい人や専門家、それに内部告発も含めて、商品を丸裸にしてしまうのである。広告でお化粧してあげても、ブログや掲示板、メールのやりとり、消費者の生の声が載った評価サイトなどで、商品はスッピンにされてしまうのだ。いくら広告でイメージを押しつけようとしても、消費者は白けるだけなのである。
  • 商品丸裸時代のクリエイディブ
    • 認知にてっすること
    • よりプロモーショナルになること
    • ありのままの自分を出すこと
    • 買ってくれた人をもてなすこと
    • 買ってくれた人に参加してもらうこと
  • どのメディアがどう伸びどう衰退するとか、そんな論ばかり言ってないで全部活用すればいいのだ。消費者が使うメディアを全部活用して前向きにこの業界を延ばしていくべきだ。既存マスメディアのよさももう一度いちから見直して、最大限活用するべきである。
  • 新しいお茶の間「ネオ茶の間」の出現。ひとりでテレビとパソコンを「ながら視聴」している人が、リアルタイムで同時に大勢つながり、雑談している。テレビとケータイを「ながら視聴」している人もそこに大勢入り込んでくる。まさに「巨大なバーチャルお茶の間」ではないか。そしてそれは以前のお茶の間のような「新しいクチコミ源」なのである。
  • 強いコンテンツさえ作れば、消費者が見つけて、教え合って、世界中に広めてくれるのである。ネオ茶の間は超実力主義だ。消費者はそこで世界中から送られてくるクオリティ高いコンテンツにも触れ続け、どんどん目が肥えていくだろう。相当厳しい視聴者となる。でも、いったん面白いと思うと味方になり、どんどん広めてもくれる。

【すべては消費者のために】
  • 彼ら(消費者)が変化したらこちらも変化する。彼らをよく見て理解し喜ばす。彼らにパートナーになってもらい一緒にコミュニケーションを作っていく。彼らのために最適なチームを編成しコミュニケーションを実行する。つまり、すべてが消費者本位の発想なのである。
  • 消費者にとっては「自分が使っているメディアがいいメディア」なだけである。彼らにとって魅力的なメディアは残るし、そうでないメディアは消える。送り手側の都合など消費者には関係ないのだ。

Links: ある広告人の告白(あるいは愚痴かもね) 『ワシ・ブロ』 インタラクティブ・エージェンシーではたらくWebプロデューサー マインドマップ的読書感想文 10000日目のハチ。:明日の広告 「明日の広告」佐藤尚之(@アスキー新書)

Filed under: ★新書・単行本など  タグ: , , , , , , , , , ,   charlie432 00:00  Comments (3)
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