岡田斗司夫 / いつまでもデブと思うなよ

岡田斗司夫
 いつも体重計に乗るたびに「やせている」に近い「標準」なので、ダイエットは必要ないどころか、もう少し肉が欲しいと思っているのですが、この本はそんな人にも学ぶべき点のある一冊です。
 1年で117kgから67kgまで、50kgのダイエットに成功した著者のダイエット法はユニークです。
 一般にダイエットといったら、
・カロリーダイエット ・代替食品ダイエット ・特定食品ダイエット ・栄養素除去ダイエット ・時間管理ダイエット
といった食餌系から、
・屋外有酸素運動 ・室内器具なし運動 ・室内器具トレーニング ・施設内トレーニング ・施設内マッサージ
などの運動系、他にも外科手術、病院のダイエット入院や複合型など色々なタイプがあります。
 どれもそれなりに効果はあるのですが、「続かない」という難点があり、上手くやらないとリバウンドで逆効果のこともあるようです。
 そこで著者が提唱するのが、ガマンせず、食べたいものを自由に食べつつ、気楽に行うダイエット法です。
 何事にも結果には原因があり、結果を変えるには原因を見つめる必要があります。そこで、自分の食生活を振り返ってみようと、「食べたものと体重の記録」をつけてみると、、、
あ~ら不思議 w(゚o゚)w
それだけで、5ヵ月で10kg体重が落ちたのです。これが「レコーディング・ダイエット」の始まりです。
 この期間はダイエットや食事制限などいっさい意識しなくていい。とにかくいつもどおり、食べたいものを食べて、飲みたいだけ飲むこと。どちらかというと「ダイエットをガマンするのが目的」だと考えて欲しい。  とにかく、いままでと同じ食生活を続ける。そして、ただ単にそれを記録するだけ。
 なぜ記録するだけで体重が落とせるのか?「太る行動を無意識に避けるだけでやせるのである」と説明されています。この「無意識に」というのがポイントかと思います。
 記録するというのは、簡単なようで結構面倒くさいものです。そこをあえて細かく記録することにより、今まで何気なしに食べてきた行為が、決して必要なことではなかった、と気付くのです。
 メモをバカ正直につけると、いろんな現実が、それも「統計的な事実」として見えてくる。私は自分を「わりとグルメかな?」とか思っていたけど、とんでもない。毎日、同じようなパターンで同じようなものを食べているだけだった。  2日に1回は、近所のコンビニでサンドイッチを買っている。たいていハムチーズサンドかダブルチーズサンド。たまにコールスローサンド。  それがそんなにおいしかったっけ? と自問自答してみるが、答えはNO。「好きだから」というより、「とりあえずサンドイッチ食べたい。棚の上にある中から選ぶとハムチーズかな?」という基準で選んでいたとしか思えない。そんなマヨネーズとバターまみれのパンを食べて、なにが野菜だ。
 しかし、「だからこの習慣をやめよ」と著者は言いません。レコーディング・ダイエットは、気楽に続けられるという点に特徴があります。
 罪悪感や反省はまったく必要ない。あなたが「そういう行動」をとっているのには、絶対に理由があるのだ。  日常のストレス、長年の習慣、ただ単に「好きでしょうがないから」。  これらはすべて立派な理由だ。やめる必要なんかない。  やめなくてもいいから、それが「太っている原因」だということだけ、自覚しよう。 「でも、もしこれを2回に1回がまんしたら」といつのまにか考え出したら上等だ。  その程度でかまわない。考えるだけで実行しなくても、この段階はかまわないのだ。 (中略) 「太っている」という状態から逃れるのは簡単だ。まず自分がいかに「太り続ける行動」を毎日しているか、充分知るだけでいい。カロリー制限なんて、まだ必要ない。まず現実を、それも「自分自身が目をつぶろうとしている現実」を把握するのが一番なのだ。 (中略)  メモをして自分の行動を客観視することが、「やせる」という結果をもたらす。「決意する」とか「頑張る」などという精神論は必要ない。  決心や決意だけでは人間は動けない。 「食べても、なんとなくうれしくない」という気持ちと、「やせはじめてなんとなくうれしい」という利益。この気持ちと利益のふたつがそろって、人間は行動できる。行動して結果が出てはじめて、人間は決心できる。  だからこそ、カロリーなどの制限なしに普段どおり食べたいものを食べて、ただひたすら記録をつける「助走」期間が必要なのだ。
 誰もが、自己の問題点を直視するのはつらいことです。しかしその問題点を明らかにしないことには克服ということはありません。あるべき姿になりたいのにどうしてもなれない。この矛盾を解決する鍵が「うれしい」という感情です。
 そもそも脳というのは快楽主義だそうです。「うれしい」「楽しい」ことは、やりたい。「うれしくない」「つまらない」ことは、やりたくない。この単純な心情を巧みに利用したのがレコーディング・ダイエットの「助走期間」です。実はこのダイエット法は、後にカロリー制限を導入するのですが、そのときには苦痛・ストレスを喜び・楽しみに転じ変える知恵を身につけているのです。何事も段階を経て進むことの大切さが知らされます。
 このような工夫は、ダイエットに限らず、苦手なことを乗り越えようとするとき、様々に応用がきくと思います。金銭管理のために出納帳をつけるとか、クリエイティヴな作業、あるいは自己啓発の仕事に携わっている人が毎日ブログや mixi に日記をアップしてアイディアを整理するなどはその一例と言えるでしょう。  ただひたすら無心に「記録する」。それだけでも、やがては閉塞感突破の糸口へとなり得るのだと知らされました。
 自分はダイエットとは無縁だから、と最初はこの本を気にも止めていませんでしたが、実際読んでみたら面白かったです。深刻にダイエットで悩んでいる人にはなおさら、お薦めと言えるかもしれません。

Filed under: ★新書・単行本など  タグ: , , , , , , ,   charlie432 00:00  Comments (2)
    2008年4月
    « 3月   5月 »
     123456
    78910111213
    14151617181920
    21222324252627
    282930