小泉純一郎 / 音楽遍歴

closeこの記事は 3 年 8 ヶ月 20 日 前に投稿されたものです。間違いに気づいたらその都度修正していますが、今読んだらおかしな点もあるかもしれません。ご了承ください。
 政治のことは疎いし、特に好きな政治家がいるという訳ではないのですが、小泉元首相だけは、政策云々は抜きにして、一人の魅力ある人間として好きでした。  その小泉さんの本を書店で見たとき思わず衝動買いをしてしまいました。正直、「買ってまでしなくても」という後悔もありましたが、実際読んでみると、なかなかの好印象、マイミクさんの日記やブログを読んでいるような感覚で楽しめました。普通にクラシック音楽が好きな人なら、「そうそう、そうですよね!」などと言いながら読みたくなると思います。「元首相」ではなく、「音楽友達」という感覚です(失礼!)。
 中学校でヴァイオリンを手にしたのがきっかけでヴァイオリン協奏曲ばかり聴くところから入られたそうです。そして、それとは別にオペラへの傾倒。  私の場合は「協奏曲」とか「交響曲」などのジャンルではなく、ウィーン古典派を出発点とした、作曲者単位で好みを増やしていったので、その点異なりますが、指揮者、演奏者に対するこだわりが少ないところは聴き方が似てると思いました。あくまでも曲そのもの重視です。
 指揮者に対しても、あまりこだわりはない。同じ曲であっても、指揮者によってこうも違うかと感じることはある。でも、この指揮者でなければだめだということはない。カラヤンとフルトヴェングラー、トスカニーニ、こうも違うとわかっていても、どちらがいいというのではなく、両方ありだな、それぞれ違いがあっていいなと思う。
(p.51~52)
小泉純一郎「Ⅱ オペラは愛である」の章が特に面白かったです。  ワーグナー「ローエングリン」團伊玖磨「夕鶴」を結びつけて“言わぬが花、聞かぬが花”と、また、歌舞伎や映画の「勧進帳」「忠臣蔵」「砂の器」から、ウソと愛についての所見を述べている個所も興味深いです。  ある意味、政治家とは叩かれるのも、、、否、叩かれるのが仕事のようなものだと思います。日々、相当なプレッシャーがあったと思いますが、小泉さん特有のマスコミへの対応が、人生劇場の主人公を楽しんでいるかのような印象を受けるのは、オペラ好きの体質が表れたのかもしれません。
 終章は「Ⅲ エルヴィス、モリコーネ、そして遍歴の騎士」と題してプレスリーや演歌、ミュージカルなどの好みも書いておられますが、察するに、プログレやメタルもきっとお好き(になられるであろう)に違いないと感じました。個人的には DREAM THEATERSYMPHONY X についての感想を聞きたいところです。X JAPAN はバラードが好きだと書かれてありますが、それは全く同感です。
 音楽だけに限らず、芸術一般が好きで造詣が深いと思われる、小泉さんの、親しみやすく人間性あふれる魅力が引き立った1冊だと思いました。「短くてあっけない」という感じはありませんでした。“言わぬが花”で、ほんの一部を飾り気なく、さらりと披露された程度なのが良かったと思います。
 音楽は押しつけないのがいい。またはレコードを渡し、「好きなときに聴いてごらん」と勧めるのがいい。音楽は鑑賞している時点の精神状態にも左右される。  人によって感性は違う。 (中略)  音楽でも本でも、自分がいいと思えばそれでいい。それがまた楽しい。
(p.46~47)
 音楽だけだったら、政治、宗教、政党は関係ない。もともと音楽には宗教性があり、宗教曲というのも存在するけれど、よい音楽ならそれでいい。  聴く人は「この曲はキリスト教だから、イスラム教だから」とか、関係ない。同様に政治家がワーグナー好き、あるいはベートーヴェン、マーラー好きだからと言っても、政治とは本来、関係ない。  音楽はその人の感性の領域。自民党だろうが共産党だろうが、好きな曲は好き。それでいいはずだ。
(p.82~83)
 聴衆の中には歌や演奏が終わった後、「ブー」と行って不満を表現する人がいる。いわゆるブーイングである。  これは私は嫌いだ。不愉快でもある。  歌手に対してもっと敬意と、おおらかな、いたわりの気持ちをもってはどうかとよく思う。気にくわなかったり、不満だったら拍手しなければいいし、本当にひどかったら退場すればいい。
(p.88~89)

関連記事かも?

  1. Profile
  2. ヤナーチェク / シンフォニエッタ、タラス・ブーリバ
  3. SIAM SHADE / V
  4. iPhone 3G
  5. 映画版「のだめカンタービレ」は12月19日

こちらの方が、より関連しているかも?

  1. ANGRA ~ Temple OF Shadows  すごいすごいを連呼すると、凄みが薄れてしまいますが、それでも「凄い!」と言わずにおれない新生 ANGRA の第2弾。正直、『Rebirth』を聴いたとき「こんなアルバム出して、その先どうするの?」と不安でしたが、それが全くの杞憂であったことが証明されました。「前作を超えた!」という大方の意見に賛成です。  まず1曲目、①「Deus Le Vout!」~②「Spread Your Fire」。これはもう「Carry On」や「Nova Era」を凌ぐ、ANGRA...
  2. 梅田望夫 / ウェブ時代5つの定理 この言葉が未来を切り開く! 梅田望夫 ウェブ時代5つの定理 この言葉が未来を切り開く!  非常に感動しました。梅田望夫さんの本は、『ウェブ進化論』、『ウェブ時代をゆく』も読んだことがありますが、いずれも前向きで積極的な内容で、読後感が非常に気持ち良いです。  本書を読み終えると、2倍3倍の成長ではなく、100倍、1000倍の進化を目指したくなるような、向上心、やる気に満ちあふれる感覚になります。 「無難で、間違いのない生き方」も素晴らしいですが、それよりも、「いまだかつて誰もなし得なかったことを果敢に取り組む」姿勢というのが大好きです。失敗し、つまづき、叩かれても、何度もはい上がって挑戦する人には魅力を感じます。  そんな、守りの生活よりも、多少リスキーでも攻めの人生を送りたい、と思っている人にはおすすめの一冊と言えると思います。  本書で幾度となく出てくるのが「アントレプレナーシップ(entrepreneurship)」という単語ですが、本文では、日本語にはこの語の持つ意味合いをぴったりと言い当てた訳語がありません。「起業家精神」あるいは「企業家精神」と訳されて使い分けられていますが、アントレプレナーシップは、なにも起業家や会社経営だけに関わるメンタリティとは限りません。  新しい物事に対して創造意欲に燃え、リスクを引き受けて果敢に挑む姿勢、不確実な未来を楽しむ精神の持ちようなどを言い表すもので、「進取の気性に富む」というと一番ニュアンスが近いかもしれませんと説明されています。...
  3. ANGRA ~ Aurora Consurgens 『Rebirth』『Temple Of Shadows』と続けざまに傑作を出した ANGRA の『Aurora Consurgens』は前2作をさらに進化させたかのような出来だと思います。この3枚を続けて聞くと、ANGRA の目指している方向性、オリジナリティが見えてくるようです。以前、某レコード店で「ジャーマンコーナー」に置かれていたのを見たことがありますが、一般的なパワーメタルの域を超え、熱きブラジルの血が脈々と流れている、躍動感のあるバンドであると再認識させられました。  ブラジルといえば、サッカー。今から10年ほど前、アルシンドが日本で大人気だったとき、RIOT の 「Destiny」をバックにした特集番組をみたことがあります。で、その「Destiny」のイントロと、このアルバムの②「The Voice...
  4. チャイコフスキー ~ 交響曲第6番 『悲愴』の名で知られるこの曲、正直なところ「結構明るいところもあるのでは?」という印象があり、マーラーの『悲劇的』の方が好きなのですが……。でも、いかにもチャイコフスキーらしい名曲ですね。 (^^;ゞ  3日の夜、某漫画家さんの誘いにより、東京国際フォーラムで聴いてきました。ドミトリー・リス指揮、ウラルフィルハーモニー管弦楽団でした。  ホールA1階45列、かなり後ろのほうだったので、あまり良く見えませんでしたが、第3楽章がかなり熱演で、思わず拍手が沸き起こりました。一瞬「え、終わり?」と思ってしまいました。  しかしこの曲はやはり第4楽章が命でしょう。第1楽章同様、出だしのいかにも「ロシア!」って感じが好きです。そして最後、静かに終わってから拍手までの沈黙の緊張感が良かったです。  チャイコフスキーは、弦楽四重奏曲第1番が好きで、この『悲愴』にはあまり思い入れがなかったのですが、今回改めて好きになりました。  会場では『のだめ』関連のCD販売が盛況で、「今、クラシックって流行ってるんだ」と実感しました。すみません、最近は DREAM THEATER がマイブームで気づきませんでした。...
  5. RHAPSODY ~ Symphony Of Enchanted Lands RHAPSODY Symphony of Enchanted Lands 数ある RHAPSODY のアルバムの中で、最もジャケットのデザインがダサイと思われる2ndアルバムですが、②「Emerald Sword」は圧倒的な人気を誇っています。サビのコーラス(合唱)はワーグナーの『ローエングリン』を思い起こさせ、非常に印象深く耳に残ります。他の曲も総じて高水準の楽曲を保っているだけに、ジャケットの悪さだけが唯一残念に思います(一方、Symphony of...
トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:

コメントはまだありません »

コメントはまだありません。

コメントする





(一部のHTMLタグを使うことができます。)

    2008年5月
    « 4月   6月 »
     1234
    567891011
    12131415161718
    19202122232425
    262728293031