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とどろき / 平成20年11月号

 今月の巻頭は「老いを生き抜く」です。


 避けることの出来ない人間の苦しみを「生」「老」「病」「死」と説かれたのは、今から2600年前、インドで活躍せられた釈尊。これは現代の日本でも変わらぬ真実です。


 その中の「老」。平均寿命が伸びたのは喜ばしいことですが、一方で進む少子高齢化の現実は深刻で、『平成19年版 高齢社会白書』によると、


高齢化率は今後も上昇を続け、平成67(2055)年には40.5%に達して、国民の2.5人に1人が65歳以上の高齢者となる社会が到来すると推計されている。総人口に占める後期高齢者の割合も上昇を続け、67(2055)年には26.5%となり、4人に1人が75歳以上の高齢者となると推計されている」


ということですから、看過できない問題です。


 年金はどうなる? 社会保険はどうなる? と報じられない日はないと言っても良いかもしれません。国に守られ、地域で支え合う社会の実現が、望まれるところです。


 そして、各個人においては、肉体の年齢とは関係なく生涯現役、常に若々しくありたいものです。


 本誌には、このような素晴らしいオバアチャンが紹介されています。

 山口県の紙野マサさんは96歳。一昨年の春から地元のケアセンターに入所しています。寝たきりですが、一日中、ベッドの上で、机に向かい、お経や親鸞聖人、蓮如上人のお言葉を書写し、本誌をはじめ仏教の書物を読んで過ごしています。月に何度か車イスに乗り、娘さんの介助で聞法に出掛けます。
 謹書はしっかりした文字で、毎日、紙一杯に仏語を書いていく。何かを見ながらではありません。覚えているのです。書かない時はそらんじているといいます。驚いた職員が、施設の掲示板に紹介したほどでした。
「仏教の本を読んでいて、いろいろなお聖教のお言葉が出てきても、ああ、あそこに出ていたなと分かってよく理解できます」
と喜ぶ紙野さんは、さらに新たなご文を覚えようと勉強に励んでいます。
 一般に、肉体が衰えると気力も萎えてくるといいます。まして体の不自由な紙野さんが、毎日このように取り組まれる原動力、若々しい心の活力は何なのでしょうか。

 ケアセンターで寝たきり、と聞くとどんなに可哀想な人かと思ってしまいますが、この方の場合は喜んで勉強に励んでおられるということですから驚きです。


 その秘訣が、以下のように明らかにされています。

心の満足が最も大事

 幸せだ、うれしいと、私たちが喜びを感じるのは心です。素晴らしい家や財産、家族に恵まれても、毎日美食で、壮健な体を与えられても、心に喜びがなければ幸せではありません。
 どんなに貧しく、病弱であっても、老いさらばえて、たとえ骨と皮だけになっても、心が大安心、大満足なら「私ほどの幸せ者はない」と声高々に叫ぶことができます。
 仏教で教えられる幸福は、どんなことがあっても揺るがぬ安心・満足のこと。心の問題です。この幸福を知り、求め、獲得すれば、順境にも、逆境にも、心は浄土に遊ぶように、日々、いきいきと過ごすことができます。
 事実、仏教によって心が元気になり、体調が好転する人は、本誌読者にも多くあります。

 どうやら、財産や家族、健康の有無とは関係ない、心の安心・満足があり、その幸福は、順境でも逆境でも有り難く喜べるもののようです。まさに、上の紙野さんが良いお手本だと思います。 

 未来に生きるのが青年、過去に生きるのが老人といわれます。未来とは夢であり、理想です。皆さんは、魂にどんな夢や理想を抱いているでしょうか。その心のありようで、青年であるか、老人であるかが決まるのです。
 たとえ70、80歳であっても、素晴らしい未来に燃える人は青年だといえましょう。

 実際、心が若い人は肌つや、血色が良く、周囲に元気を与える人が多いですよね。自分もそうありたいと思わずにおれません。

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