- 2008-12-11 (木) 0:00
- ★芸術雑感
前に、静止画が動いて見えたり、一点を凝視していたら、周囲が見えなくなった、というのをやりましたが、その原因が明らかにされつつあるようです。
といってもまだ正確にはわかっていない状況ですが、マイクロ・サッカードと呼ばれる眼球運動が解明の鍵をにぎっているらしいです。マイクロ・サッカードとは、目が1点を注視する際に行なわれる小さな運動の一種で、
固視微動
一点を注視しているとき、目の動きは止まっているように見えるが、実際には小さな動きを絶えず行っている。固視微動には、ドリフトとトレマ、フリックがある。ドリフトは、小さな滑らかな動き、トレマは非常に小さな高周波の振動、フリックは小さな跳ぶような動きで、跳躍運動(サッカード)を小さくした動きとしてマイクロサッカードとも呼ばれている。固視微動は単なるノイズではなく、空間上に浮かんでいる眼球の方向を一定に保つための動きや、網膜像を鮮明に保つための動きと考えられている。フリックは神経のインパルスを反映しているとも考えられ、脳内の視覚情報処理機構を考える上で、見過ごすことのできない眼球運動である。
というもの。
今回の研究は、「静止画が動いて見える原因は脳か? 眼球か?」という論争に対し、「眼球」という答えを与えるもので
マイクロ・サッカードが関与していると証明できれば、錯視は脳の視覚野のみが原因だとする仮説は除外される。視覚野も関与しているかもしれないが、錯覚はまず眼球で生じるのだ
と、Martinez-Conde 氏は述べています。
その仕組みが、まだ正確には突き止められていない、という段階ですが、これが明らかになれば、マイクロ・サッカードを利用した新たな視覚効果のアイディアも膨らむかもしれません。
小林秀雄の『近代絵画』のところでも少し書きましたが、視覚をだますのは聴覚より簡単なようですので、表現技法のひとつとして、「だまし絵」的な面白い芸術作品が今後も生まれたら、楽しいと思います。
以上、"静止画が動いて見える「エニグマ錯視」の原因は"を参考にさせていただきました↓
静止画が動いて見える「エニグマ錯視」の原因は
2008年12月 1日
Brandon Keim
Isia Leviantの美術作品『Enigma』(謎)
Image: Michael Bach静止画が動いて見える、というよく知られた目の錯覚は、無意識の急速な眼球運動が原因だとする研究結果が発表された。
マイクロ・サッカードと呼ばれる眼球運動[目が1点を注視する際に行なわれる小さな運動の一種]を抑制したところ、エニグマ錯視――ちらついたり回転しているかのように見える画像――が静止したままに見えたと、被験者らは報告したという。
[エニグマ錯視とは、上に掲げた1981年の美術作品『The Enigma』の中心部に視線を固定すると、色の部分にちらつきや回転運動が見えるという現象]
マイクロ・サッカードがどのように視覚に影響を与えているのか、まだ正確にはわかっていない。しかしこの眼球運動は、1つの物体に視点を固定させているとき、その周辺の詳細を知覚するのに役立っていると思われる(これを自分で確かめたい人は、下の画像で輪の中心にある赤い点に焦点を合わせてみよう。視点を固定することでマイクロ・サッカードが減少し、周囲の輪が消えて見えなくなる)。
トロクスラー効果
Image: WikiMedia Commons「人間の主観的体験では、目は動いているときもあれば、止まっているときもあるように感じられる。だが実際には、目は休みなく動いている」と、アリゾナ州フェニックスにあるバロー神経病学研究所の視覚神経科学者、Susana Martinez-Conde氏は述べている。
『米国科学アカデミー紀要』(PNAS)に発表されたMartinez-Conde氏の研究は、巧妙な目の錯覚の謎を解明するだけにとどまらない。視覚をめぐる1つの論争に回答を与える可能性をも示唆している。その論争とは、静止画が動いているように見えるのは、眼球あるいは脳のどちらを原因とするかというものだ。
今回の研究結果によれば、原因は眼球の方だという。
「マイクロ・サッカードが関与していると証明できれば、錯視は脳の視覚野のみが原因だとする仮説は除外される。視覚野も関与しているかもしれないが、錯覚はまず眼球で生じるのだ」と、Martinez-Conde氏は述べる。
Martinez-Conde氏はまだ、静止画が動いて見える錯覚をマイクロ・サッカードが引き起こす仕組みを正確には突き止めていないが、周辺の画像がそれぞれ少しずつ異なり、1つ前の画像と位置がずれていたり、あるいは前の画像に重なっていたりすると、動いているように見えるのではないかと推測している。
この錯視の原因についてはさらなる研究が必要だ、とMartinez-Conde氏は述べているが、同氏の研究成果はすでに十分な知見に満ちている可能性がある。たとえばマイクロ・サッカードの異常は、いくつかの視覚障害の原因になっているかもしれない。
「人によってマイクロ・サッカードが激しすぎたり、あるいは充分でなかったりする可能性がある。だが、通常、眼の検査においてマイクロ・サッカードを調べることはない」と、Martinez-Conde氏は語った。
PNASの「エニグマ錯視における運動錯視はマイクロ・サッカードによって生じる」を参考にした。
[東京工業大学の研究チームは、眼球の固視微動を研究して、ロボットビジョンにおける立体視や距離情報取得に応用しようとしている]
[日本語版:ガリレオ-向井朋子/高橋朋子]
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Isia Leviantの美術作品『Enigma』(謎)
トロクスラー効果
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