アル・ライズ、ジャック・トラウト / ポジショニング戦略

以前書いた『ブランドは広告でつくれない』の著者、アル・ライズが名声を獲得するきっかけとなった本だそうです。 そんなことも知らずに読んでみたら、「フィリップスは、データ容量600メガバイトの3.5インチコンパクトディスクを売り出した。ここにはブリタニカ百科事典全巻がゆうに収まる」との記述に「え゙?」と驚いて調べてみると、、、 の前に、「世界中で30年間読み継がれる、マーケターのバイブル」と表紙に書いてありました(^^; 1970年代に書かれた本(日本では1987年に出版)の新版が本書です。 そうか、当時は600MBのCDが画期的なメディアだったのか、と思いましたが、30年間変わらぬマーケティングの真髄とは"消費者の「頭の中」を制する者が、ビジネスを制する"、、、これも表紙の言葉です。 今や、G(ギガ)単位の情報を普通に携帯できる時代、1T(テラ)のHDDが安価で手に入り、P(ペタ)、E(エクサ)という言葉も、そのうち当たり前に使われるようになるでしょう。 16MBのCFを1万円出して買っていた時期はそう古くないのに、非常に懐かしい思いがします。

情報社会を生き抜くために

(前略)  ポジショニングが必要な理由、それは私たちの社会が情報社会になったからだ。 (中略)  情報社会では、「インパクト」こそが大切だと考えられがちだが、本当に求められているのは、ハンマーでたたきこむタイプの広告ではない。情報社会というジャンルで頭角を現したいなら、ターゲットを絞りこみ、細分化することだ。つまりは、ポジショニングせよ、ということだ。  人は、とてつもない量の情報が押し寄せると、本能的にそれらの情報を払いのけ拒絶する。一般に、頭脳は、過去に得た知識や経験に合致するものしか受けつけない。  それなのに広告の世界では、人の心を変えさせようと何百ドルもの大金を無駄づかいしている。いったん何かを決めた人の心を変えさせるのは容易ではない。ましてや広告のような限られた力では到底無理である。「あれやこれや並べ立てて混乱させないでくださいよ。私の心はもう決まってるんですから」。これが、たいていの人の本音なのだ。  普通の人は、自分が知らないことについては素直に話を聞く。ニュース的手法をとった広告が有効なのはそのためだ。しかし、「あなたの知っていることは間違っている」と言われると、拒否反応を示す。だから、消費者を心変わりさせようとする広告は大失敗する運命にある。
(01 ポジショニングとは何か?)
そんな情報社会に、「消費者の頭の中に商品の的確なイメージを築き上げる」というポジショニングという理論を世界で始めて提唱した本書。一言で言えば「商品ではなく、消費者の側から発想せよ」という単純なものです。
問題は「消費者がどう思うか」である。  企業イメージの広告を成功させるためには、この問題に答える必要があるのだ。
(14 「自社」をポジショニングする方法)
 ここには、学ぶべき重要な教訓がある。 「ポジショニングの問題を解決したいなら、『商品』ではなく『消費者の頭の中』を見つめよ」
(17 ポジショニングでヒット商品に変身)
この発想から生まれるのが、
  • メッセージはシンプルに
  • まず一番乗りを果たすこと
  • 「なせばなる」の愚
  • 「ネーミング・パワー」をこの手に
  • ライン拡大は企業を弱体化させる
などです。
 消費者の頭の中に入りこむ簡単な方法は、一番乗りすることだ。 (中略) 「消費者の頭の中に、消えないメッセージを刻み込む」ために最初に考えるべきことは、メッセージの内容ではない。消費者の頭の中の状態だ。まっさらな心、他のブランドに汚されていない未踏の心が望ましい。  ビジネスの法則と自然の法則との間には、共通性がある。  たとえば、動物学でいう「刷りこみ」。これは、生まれたばかりの動物が、最初に目の前を動くものを親として覚えこみ、一生それに愛着を示す現象である。ほんの数秒間で、子どもの脳に親の存在が消しがたく刷りこまれるというこの習性によって、アヒルはどんなに大きな群れであろうと必ず自分の母親を見分ける。また、犬や猫や人を最初に見たアヒルのヒナは、いくら外見が似ても似つかなくても、それを母親と思いこんでしまう。 「一目ぼれ」も、似たようなものだ。アヒルほどではないにしても、最初の思いこみが頭の中を支配する。このとき重要なのは、「受け入れ態勢があるかどうか」である。どちらかが別の誰かと熱愛中なら、恋は始まらない。  そして結婚という制度もまた、言ってみれば早い者勝ちである。  ビジネスでも、重要なのは、人の頭の中に「最初に」入っていくことである。  人は、配偶者に誠意を尽くすのと同じように、スーパーマーケットでもお気に入りのブランドに誠意を尽くして、それを購入する。まず一番乗りを果たすこと。そして、相手に心変わりのきっかけを与えないようにすることが肝心だ。
(03 頭の中に忍びこむ)
(前略)ライン拡大とは、定評のある商品の名前を新しい商品にも活用することであり、ただ乗りの罠の行く先である。 (中略)  ダイアルもバイエルも、消費者の頭の中にしっかりとポジショニングしている。ポジショニングとは、つまるところ「ブランド名が、ある一般名詞の代用として使われるようになる」ことである。 (中略)  だがライン拡大をしてしまうと、せっかく消費者の頭の中に明確に刻み込まれていたブランドイメージがぼやけてしまう。消費者から見れば、ライン拡大は一般名詞化したブランドのポジションと衝突するのである。  言ってみればライン拡大とは、それまでアスピリンを買うときに「バイエルをください」と言っていた人々に、「バイエルというのは、ただのブランド名ですよ」とわざわざ教えるようなものである。バイエルがアスピリンの代名詞であるという錯覚を打ち砕いてしまうのだ。同じように、ダイアルといえばデオドラント石鹸の代名詞だったのに、ライン拡大をすることで、デオドラント石鹸のブランド名のひとつとして認識されるようになってしまうのである。
(12 ライン拡大は企業を弱体化させる)
ビジネスに限らず、一般生活においても、相手の立場に立ったものの考え方、これが他人に受け入れられ、大切にされる秘訣ではないかと思います。 言うは易し、、、ですが、心がけてゆきたいと思います。 (続きを読む…)

Filed under: ★新書・単行本など  タグ: , , , , , , , , , , , ,   charlie432 00:00  Comments (0)
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