★゜・。。・゜゜・。。・゜☆ 2009年05月22日 ☆゜・。。・゜゜・。。・゜★
筒井康隆 / 残像に口紅を
以前、「ステファノ・フォン・ロー / 小さい“つ”が消えた日(Die Geschichte vom kleinen Tsu)」を書いたときに、ミュジニーさんよりコメントにて教えていただいて読んだ本です。
『小さい“つ”が消えた日』
は、文字通り促音を表す「っ」君が五十音村から消えて日本語が混乱する物語でしたが、この『残像に口紅を』は全ての音が最後に消えてしまうという、実験的な作品。アイディアとして考える人は他にもいたでしょうが、実際にこういう小説を書いてしまった、という事実にまず驚かされます。
タイトルは、言葉の消失と共に消えた娘にちなんでおり、早い段階で奥さんと3人の娘が消えています。主人公の佐治勝夫は、この小説の登場人物でもあり、また作者でもあります。
虚構内存在、つまり自分が小説の中の登場人物だということを意識している人物としての虚構内存在を設定し、(p.14)
感情移入の対象を、もはや動物だの無機物だのにとどめることなく、他ならぬ読者をその感情移入へと導くべき言語、その言語そのものに対して行うと宣言して、(p.17)
もしひとつの言語が消滅した時、惜しまれるのは言語かイメージか。つまりは言語そのものがこの世界から少しずつ消えていくというテーマの虚構に挑戦した小説。 1章ごとにどんどん音が消失してゆくので、話の内容そのものよりも、制限が増えることにより、文章がどう変わってゆくか、を気にしながら読み進めて行きましたが、かなり後半になるまで、全然違和感なく読めてしまうのに、また驚きました。 (続きを読む…)(p.18)



