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村上春樹 / 1Q84 (BOOK 1)

前に「村上春樹 / 1Q84」で書いたとおり、


これは良いかも!です。


まだ1巻目を読了したところですが、


とりあえず、


ネタバレにならない程度に感じたことを。




の前に、BGM。


前回貼り付けたのとは違うものです。


ヤナーチェク / シンフォニエッタ(第1楽章)










Knife Edge – ELP Tribute



半分まで読んで感じたは、


圧倒的な無力感というのがテーマでしょうか。


何度かその表現が出てきましたが、強く心に残りました。


カルト宗教や性犯罪、そして加害者への制裁など、、、


現実社会の抱えている闇の部分をリアルに描き、


根源的な「生きる意味」を、読みやすく訴えていると思いました。




過去に読んだ村上春樹の作品には、


象徴的、抽象的で良くわからないものもありましたが、


今回は、あるとすれば、作中の小説『空気さなぎ』と、


1984年ではない1Q84年という仮説の世界ぐらいで、


それにしても、あまり難解なところを感じさせず、


普通に推理小説やファンタジーを読んでいるような感覚で、


物語の世界に引き込まれて行きました。




重苦しい内容(そして男には痛い話 *o*)も含みますが、


『空気さなぎ』を語る謎の美少女「ふかえり」の存在に、妙に癒されるのと、


やはり、ストーリー展開が面白いところに、続けて先を読みたいという魅力を感じます。




2つの月とは? リトル・ピープルとは?


この謎がどのように解決されるのか、


また、無力感を抱えた登場人物が、今後何を支柱に意味のある人生を歩むのか、


それとも無意味な人生で終わるのか、気になるところです。



 この人物はやり手だったが、いささか働きすぎたのだ。高い収入を得ていたが、死んでしまってはそれを使うこともできない。アルマーニのスーツを着てジャガーを運転していても、結局は蟻と同じだ。働いて、働いて、意味もなく死んでいく。彼がこの世界に存在していたこともやがて忘れられていく。まだ若いのに気の毒に、と人は言うかもしれない。言わないかもしれない。


第3章(青豆)変更されたいくつかの事実 p.74

「しかし言うまでもないことだが、ユートピアなんていうものは、どこの世界にも存在しない。錬金術や永久運動がどこにもないのと同じだよ。タカシマのやっていることは、私に言わせればだが、何も考えないロボットを作り出すことだ。人の頭から、自分でものを考える回線を取り外してしまう。ジョージ・オーウェルが小説に書いたのと同じような世界だよ。しかし君もおそらく知ってのとおり、そういう脳死的な状況を進んで求める連中も、世間には少なからずいる。その方がなんといっても楽だからね。ややこしいことは何も考えなくていいし、黙って上から言われたとおりにやっていればいい。食いっぱぐれはない。その手の環境を求めている人々にとっては、たしかにタカシマ塾はユートピアかもしれん。(後略)」
「タカシマはたのしかった」とふかえりは言った。
 先生は微笑んだ。「小さな子供にとってはきっと楽しいところなんだろう。でも成長してある年齢になり、自我が生まれてくると、多くの子供たちにとってタカシマでの生活は生き地獄に近いものになってくる。自分の頭でものを考えようとする自然な欲求が、上からの力で押しつぶされていくわけだからな。それは言うなれば、脳味噌の纏足のようなものだ」
「テンソク」とふかえりは尋ねた。
「昔の中国で、幼い女の子の足を小さな靴に無理矢理はめて、大きくならないようにした」と天吾は説明した。


第10章(天悟)本物の地が流れる実物の革命 p.223~

何であれ、目の前に自分の所有するものが溜まっていくことが彼女には苦痛だった。どこかの店で何かを買うたびに罪悪感を感じた。こんなものは本当は必要ないんだと思う。クローゼットの中の小綺麗な衣服や靴を見ると胸が痛み、息苦しくなった。そのような自由で豊かな光景は、逆説的にではあるけれど、何も与えられなかった不自由で貧しい子供時代を、青豆に思い出させた。
 人が自由になるというのはいったいどういうことなのだろう、と彼女はよく自問した。たとえひとつの檻からうまく抜け出すことができたとしても、そこもまた別の、もっと大きな檻の中でしかないということなのだろうか?


第15章(青豆)気球に碇をつけるみたいにしっかりと p.329

「私も歴史の本を読むのが好きです。歴史の本が教えてくれるのは、私たちは昔も今も基本的に同じだという事実です。服装や生活様式にいくらかの違いはあっても、私たちが考えることややっていることにそれほどの変わりはありません。人間というものは結局のところ、遺伝子にとってのただの乗り物(キャリア)であり、通り道に過ぎないのです。彼らは馬を乗り潰していくように、世代から世代へと私たちを乗り継いでいきます。そして遺伝子は何が善で何が悪かなんてことは考えません。私たちが幸福になろうが不幸になろうが、彼らの知ったことではありません。私たちはただの手段に過ぎないわけですから。彼らが考慮するのは、何が自分たちにとっていちばん効率的かということだけです」
「それにもかかわらず、私たちは何が善であり何が悪であるかということについて考えないわけにはいかない。そういうことですか?」
 老婦人は肯いた。「そのとおりです。人間はそれについて考えないわけにはいかない。しかし私たちの生き方の根本を支配しているのは遺伝子です。当然のことながら、そこに矛盾が生じることになります」、彼女はそう言って微笑んだ。


第17章(青豆)私たちが幸福になろうが不幸になろうが p.385

「世間にはほとんど知られていないことですが、この教団には『リーダー』という名前で呼ばれる教祖がいます。彼は特殊能力を持っていると見なされています。その能力を用いて時として難病を治したり、未来を予言したり、様々な超常現象を起こしたりするということです。もちろんみんな手の込んだインチキに違いありませんが、それもあって、多くの人々が彼のもとに引き寄せられていくようです。(中略)大昔から同じような詐欺行為が、世界の至る所で繰り返されてきました。手口はいつだって同じです。それでも、そのようなあさましいインチキは衰えることを知りません。世間の大多数の人々は真実を信じるのではなく、真実であってもらいたいと望んでいることを進んで信じるからです。そういう人々は、両目をいくらしっかり大きく開けていたところで、実はなにひとつ見てはいません。そのような人々を相手に詐欺を働くのは、赤子の手をひねるようなものです」


第19章(青豆)秘密を分かち合う女たち p.436~

 初潮前の少女を犯すことに喜びを見いだす男、筋骨たくましいゲイの用心棒、輸血を拒否して進んで死んでいく信仰深い人々、妊娠六ヶ月で睡眠薬自殺をする女性、問題ある男たちの首筋に鋭い針を刺して殺害する女、女を憎む男たち、男を憎む女たち。そんな人々がこの世界に存在することが、どのような利益を遺伝子にもたらすというのだろう。遺伝子たちはそのような屈曲したエピソードを、カラフルな刺激として楽しみ、あるいは何らかの目的のために利用しているのだろうか。


第19章(青豆)秘密を分かち合う女たち p.443







【追記】
村上春樹 / 1Q84
村上春樹 / 1Q84 (BOOK2 の途中まで)
村上春樹 / 1Q84 (BOOK 1、BOOK 2)
クローズアップ現代 / 村上春樹 "物語" の力 – 『1Q84』

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コメント:3

ウーツー 09-06-14 (日) 17:16

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 このごろ、「1Q84」が話題になってから、ヤナチェクやバッハの平均律のCDを取り出して頻繁に聴いています。特に平均律と小説の関係に興味が出てきました。


 店頭に在庫がなく立ち読みできないので、引用の数々、参考になります。ありがとうございました。どこか教訓めいたおとなの童話のように感じます。

charlie432 09-06-14 (日) 20:53

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はじめまして!コメント有難うございます!!!


そうそう、書店に在庫がなくなるぐらい売れているみたいですね。
早めに買っておいて良かったです。


村上春樹の小説には音楽の話が沢山出てきますから、そこもまた楽しみの一つです。


確かに、今回は「教訓めいた大人の童話」という色合いが強いと思います。


是非、入手してお読み下さい(^^)ノシ

甘村商会 09-06-20 (土) 21:29

1Q84 BOOK 1 |村上春樹

1Q84 BOOK 1村上春樹新潮社 刊発売日 2009-05-29タイトル「1Q84」の種明かし 2009-06-19「1Q84」の種明かしをやってみました。よかったら見に来て下さい。http://nakatasan.jugem.jp/?eid=743#commentsリズム 2009-06-19BOOK1の冒頭付近..

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