芥川龍之介 ~ 夢

芥川龍之介
 夢の中に色彩を見るのは神経の疲れてゐる証拠であると云ふ。が、僕は子供の時からずつと色彩のある夢を見てゐる。いや、色彩のない夢などと云ふものはあることも殆(ほとん)ど信ぜられない。
……続きを読む (芥川龍之介『夢』より)

 最近、夜「さ~て、寝……Zzz(-。-)」と思った瞬間に、翌朝になり、眠い目をこすりながら出勤する毎日が続いています。久しく夢を見ていないような気がします。疲労がたまっているのか、いないのか、良く分かりません。起きているときに夢劇場にいるからでしょうか。
 それはさておき、「僕は夢の中でも歌だの発句だのを作つてゐる。が、名歌や名句は勿論、体を成したものさへ出来たことはない。その癖いつも夢の中では駄作ではないやうに信じてゐる」という芥川の言葉は、共感できるものがあります。化学の世界では、Cベンゼン環の分子構造を、夢をヒントに解明したという話がありますが、それ以外のところでは、夢とは儚いものの代名詞とされていますね。
「露とおち 露と消えにし わが身かな 難波のことも 夢のまた夢」
秀吉の言葉然り、多くの辞世の句には「夢」という単語が出てきます。「夢」とか「ドリーム」と聞くと、明るく前向きな印象を受けますが、現実はどうやらそれとは反対のようです。未来に向くと明るくなり、過去に向かうと暗くなるもの、それが夢なのかも知れません。
(参考) 人生は「浮生なる相」 からっ風くらぶ! 夢十夜

Filed under: あ:芥川龍之介  タグ: , , , , ,   charlie432 12:58  Comments (0)

芥川龍之介 ~ 地獄変

地獄変 地獄変 ↑ どちらかというと 左の装丁の方が好きです。
 小学生だったか中学生だった頃、テレビで非常に怖い映画をやっていました。途中から見たのですが、火のついた牛車の中で若い女性がもがき苦しみ、その前で獣のような男が恐ろしい形相でそれを見つめているのです。やがて猛火は女性を包み込み……。強烈なインパクトでした。 最後「原作:芥川龍之介 音楽:芥川也寸志」とテロップが出ていたので、恐らく『地獄変』の映画だったのだと思います。
「見たものしか描けない」という当代随一の絵師・良秀。“地獄変の屏風”を描くよう命じた堀川の大殿様に、「あらましは出来上りましたが、唯一つ、今以て私には描けぬ所がございまする」と言ったのは、牛車に乗った女が猛火に苦しむ姿でありました。そこで大殿がが用意したものは……。
 芸術至上主義の是非云々というよりは、「地獄」とは一体何か、大変考えさせられる作品でした。最後、「如何に一芸一能に秀でやうとも、人として五常を弁(わきま)へねば、地獄に堕ちる外はない」とよく仰っていた横川(よがわ)の僧都様が、完成した地獄絵図を実際に見られて「出かし居つた」と言われたのが意味深でした。私見ですが、地獄とは各人の心が作り出すもので、それを如実に表した絵図だったのではないか、と思わずにおれません。
 いずれにしても、芥川龍之介のえぐりだす、人間の心の奥底に潜む鬼の心に戦慄をおぼえずにおれません。有名な『蜘蛛の糸』も然りです。そんな芥川のせめてもの救いは『杜子春』に見られる人間性だったのでしょうか。
 ちなみに、私が読んだのは青空文庫からでした。DLして通勤電車の中、携帯で読みました…… (^^;ゞ


(参考) 渡辺知明さんの朗読ブログ 渡辺知明さんの朗読ブログ(2) aotuka202さんのブログ miwabookさんのブログ 湖山 芽依さんのブログ 悠里さんのブログ 幸田回生さんのブログ 芥川龍之介研究 地獄変/芥川龍之介のあらすじと読書感想文 青空文庫

Filed under: あ:芥川龍之介  タグ: , , , , , , , ,   charlie432 12:58  Comments (6)
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