太宰治 / 津軽

旅が好きで、酒呑みの父が「これ、すごく良いけど読む?」と勧めてくれた一冊。 勧められる本は基本的に拒否しない主義なので、読んではみたものの、『斜陽』『人間失格』を読んだときと同様、正直なところ消化不良に終わってしまったような気がします。 自分もどちらかというと自己否定的な傾向があるのですが、太宰治のそれとは少し違うように思いました。
太宰は津軽の古い豪家に生れたが、あの暗い憂鬱の影は旧家の影だと云ってもよかろう。そこに生得的とも云える自己否定が生まれた。換言すれば、自分の「家」から、いかにして逃亡するか。更に自分自身から、いかに逃亡するか。つまり自分の背負わされた運命への抵抗とそのための傷痕が、かれの文学に一筋の道として通っている。
「解説(亀井勝一郎)」より
暗いのは苦手ではない、、、どころか、むしろ好きな方ですが、太宰的退廃的空気は今一つ共感出来ませんでした。 そもそも、酒を呑まずにおれない、という気持ちになったことがないもので、、、。作品中、酒を酌み交わす場面が多く出てきたなぁ、というのが読後感です。 経験不足の未熟者ということでしょうか。今後色々と苦労を重ねてゆけば理解できるのかも知れない、などと思ってみました。まあ、自分は自棄酒(やけざけ)よりも、不貞寝(ふてね)派ですが。 ただ、
「人を喜ばせるのが何よりも好き」という気持には孤独者の悲哀があるが、また無類のお人好しのところもある。(中略)繊細な感受性をもった人は、友人を饗応するときなど、どうしたら満足を得られるかと、あれこれ気をつかい、ただ周章狼狽、愛情を過度に露出して、さんざん御馳走したあげく、あとで謝るような結果になるものだ。太宰の交際ぶりがそうであった。
「解説(亀井勝一郎)」より
というのは良く理解できます。「あとで謝る」というところが特に。 その他、育ての親であり、幼年時代の乳母、「たけ」との30年ぶりの再会の場面は感動的でした。 (続きを読む…)

Filed under: た:太宰治  タグ: , , , , , ,   charlie432 00:00  Comments (0)
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