【本】もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら / 岩崎夏海

これ以前に書いていないものがたまっているのですが、「マンガ化(2010年12月~)、アニメ化(2011年3月~)、映画化(2011年6月~)決定!」という帯を見て、アニメ化される前に書いてみたいと思って優先させてみました。

本来の「監督」「管理者」を意味する"マネージャー"と、いわゆる日本で使われる部活の"マネージャー"を勘違いして、ドラッカーの『マネジメント』を読み始めた程久保高校野球部マネージャー川島みなみが、都内弱小チームで甲子園を目指すという小説。予定調和的な出来すぎた話ですが、後半、思いもよらぬ展開に素直に感動したし、『マネジメント』未読者としては入門編として、原文(の日本語訳)も読んでみたいと思いました。また、高校時代は野球部だったので懐かしく読むことができたのも好印象の一つです。さらに、実際には女子マネージャーはいなかったのですが、本書には複数いることも。

個人的には「企業だけでなく、家庭、学校、会社、NPO…ひとがあつまっているすべての組織に役立つ」という帯の言葉に「バンド」も加えたいところです。優れたミュージシャンさえ集まれば良い音楽が出来る訳ではないことは、解散やメンバーチェンジを繰り返すバンドを考えればよく分かります。

そしてこれは組織だけのことでなく、個人に対しても役立つことは多いのではないかと思います。

イラスト:ゆきうさぎ イラスト:ゆきうさぎ イラスト:ゆきうさぎ
(イラスト:ゆきうさぎ)


「もしドラ」公式PV



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【本】高森顕徹 / (新装版)光に向かって100の花束

同名書籍の新装版です。ハードカバーの『光に向かって100の花束』がソフトカバーになり、ほぼ同じデザインで、目に優しい緑色の装丁となりました。

この本の特徴は「読みやすさ」にあると思います。短い話が100収められているので、どこからでも読めますし、一気に読み通す必要もありません。時間の無い人には有難いです。

花束をもらって心が和むように、心あたたまるエピソードが満載なので、祝い品や記念、プレゼントとして贈呈すると喜ばれるのではないでしょうか。会社の研修や朝礼にも使われているとか。


古今東西の、失敗談、成功談、心温まるエピソードから、元気がわくヒントを100選びました。
1話3分で読める気軽さ。おもしろいだけでなく、ためになるエピソード満載です。
すでに英語版、中国語版、韓国語版も発刊され、「この本は、宝石箱だ」と書評が掲載されるほどの人気ぶり。
100話の中には、人間関係、仕事の悩み、子供の教育、夫婦仲など、人生を明るくするヒントがあふれています。


元となるのは『教訓』(大沼法龍著)。一つ前に書いた『銀河鉄道999』と『銀河鉄道の夜』の関係とは違って、こちらは表現の細部にわたってほぼ同内容です。大沼師に対する敬意の表れか、それとも何か深い意味があってのことでしょうか。

非常に良い内容ですし、元の話と比べてみると面白いので、是非手にとって読むことをお薦めしたい良書だと思います。

以下、大沼法龍師の言葉より。

285 タンベルグ

 有名な音楽家のタンベルグに、新作の発表をするためにピアノ演奏の依頼に行った。「私には練習する日が足りません」「でも四日もあれば、このくらいの歌曲なら訳ないでしょう」「いや、私は公開の席に出るには一日五十回、一ヶ月の練習で千五百回以上練習しなければ出演しません」なんと、名人になる人は違う。布教使の優秀なのがいないはずだ、飲みたい放題飲み、食いたい放題食い、寝たい放題寝て、言いたいまかせを言うているのだもの肺腑を貫く布教ができないはずだ。
(「教訓」p344)


Filed under: た:高森顕徹  タグ: , , , , , , , , , ,   charlie432 00:00  Comments (0)

【本】武田邦彦 / 偽善エコロジー―「環境生活」が地球を破壊する

環境問題に全く無関心という訳ではないけれど、具体的に何か心がけていることがあるかといったら、せいぜいゴミの出し方を気をつける、という程度でしかありませんでしたが、この本は非常に面白く読めました。「地球に優しい」考え方が根本的に覆されたともいえます。

リサイクルやリユース、リデュースなどが、実は無駄な努力であったり、却って逆効果の場合もあることが興味深く論じられています。中でも、地球温暖化はどうしても避けられないのだから、「ストップ温暖化」と言って環境を変えるのではなく人間の生活スタイルを変えるべきだ、という主張には無理がなく、強く納得させられました。

色々調べてみると、検証データの信憑性や論法の甘さを指摘する意見もありますが、それまで常識と思っていたことに疑いの目を向けさせる点においては、多くの人に読まれる価値のある内容だと思います。

そもそも複雑な生態系において、何が正しく何が間違っているか、目に見える事象だけで早計に判断することはできないことだと思うので、一方的な情報を鵜呑みにせず、多角的な視点でよく考えることが大切だと感じました。その際、著者の主張も批判的に読む態度も必要でしょう。

環境問題の誤った常識は、無知・無関心・考察不足などから起こる場合もありますが、本書では、企業や自治体、マスコミなどのエゴによって作られたものである事例もいくつか訴えられています。生物のため、資源のため、人間のため、と聞くと、良いことのように思ってしまいますが、実は金儲けが目的の大嘘の場合があると知り、腹立たしい気持ちにもなりました。

外国人には不可解と思われる、日本人の矛盾した思考パターンにも触れられています。自然との関わりで最も中心となる「食」において、人口1億を超える国の中では穀物自給率が極端に低く、その多くを輸入に頼って、しかも食品ゴミを大量に出しても平気でいる日本。一方で、大した抑止効果の期待されない温暖化に対しては、「チーム6%」などと言って温暖化ガス削減に躍起になっているのは、国際的に特異な存在であり、信用されない言動であることを自覚せねばならないと思いました。

森林の利用においても、上手く自然と共存しているスウェーデン・フィンランドと比べると、同様に森林の面積の割合が高いにもかかわらず、日本では紙もに木材にも使わずに、そして石油を使って紙のリサイクルをしています。これを理解不能と指摘されるのも、その通りと認めざるを得ません。森林を伐採しないことが自然を守ることだというのは錯覚で、「森林を伐採しないから環境の劣等性」と言われる理由が本書を読めばよく分かります。

4章のうち、最初の3章で科学的・化学的根拠を出して論じ、最終章ではさらに本質に迫って、関心が心から物へ移ったことが今日の環境問題の根本的な原因であると結論付けられてます。

エコや節約を、我慢とか禁欲的なものだと思っている間は、それは本物ではなく、自然の恵みを感謝して享受し、人間らしい心の充足を楽しむことが出来てはじめてエコロジーと言えるのだと思いました。

あ、書きながら思い出しましたが、毛糸で編んだタワシを使うというのはエコかもしれません。洗剤を使わなくても食器(油汚れも含む)をキレイに洗うことが出来るので楽しいです。


「もったいない」という言葉があります。最近のように多くの人が物にとりつかれている社会では物を節約するためにもったいないと子供におしえることになりますが、私が母から教えてもらった「もったいない」という言葉は、心の問題でした。「もったいないからご飯粒は残してはいけないよ」という言葉には、「せっかくお百姓さんが苦労してお米を作ってくださったのだから、残してはいけない」という感謝の気持ちであって、自分が生かされているのは自分を支えてくれる多くの人がいるからだ、という心から出た言葉でした。決して、ご飯粒一つを残すと、ゴミが増える、などということではなかったと思います。
「もったいない」は感謝の気持ちであり、その結果として「物を節約する」ことができますが、それはあくまでも結果であって、動機ではありません。
(第四章 本当に「環境にいい生活」とは何か  より)



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Filed under: ★新書・単行本など  タグ: , , , , , , , , , ,   charlie432 00:00  Comments (0)
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