西原祐治 / 脱常識のすすめ (2)

一つ前の投稿の続きです。
 人は欲望に励まされて生きているのですからお金に対する執着は当然です。しかしこの欲望には節度が必要です。欲望に節度の調和をもたらしてくれるのが文化であり、その究極が宗教です。おおかたの宗教は「感謝」と「懺悔」を大切にします。私たちの国では「ありがとう」と「恥ずかしい」という言葉で相続してきました。ところが現代はこの「恥ずかしい」という思いや感情が希薄です。
 がん患者のHさんから「安心して病気がしたい」と何度か聞いたことがあります。「かわいそうに」「お気の毒に」といった自分を取り巻く環境が、自分を憂うつにしたといいます。
 病気を患っても自分は自分だし、今という時は、二度繰り返すことはない。そんな自分が他人と比較され、劣った人であるかのように見られることがたまらなかったのでしょう。
 物や人に点数を付けない。すべての存在は、宇宙で唯一のものであり、永遠に繰り返すことはない。そういう視点を持って、日常生活を送りたいものです。
老人、病人、障害者、挫折したひとなど、評価ではなく、その人をありのままに受け入れる価値観が希薄です。
(中略)
 その救済活動は、救済活動の対象者を「他者に代わって時代の苦悩を背負っている文殊菩薩の化身」であるという人間理解から展開されたと聞きます。救済する者ももされる者も互いを尊重い合う。共に一つの豊かな理想に向かって歩むという営みです。
 人は失ったとき初めて本当のことが見えてきます。別れは、新しいものとの出合いの時でもあるのです。
 「葬式仏教」といわれ久しい時が経ちます。この言葉は、葬式という儀式にだけ終始している僧侶への批判から生まれた言葉でしょう。
 だからといって、私は、仏教者がもっと死より生に関わるべきだとは思いません。逆に、もっと死に関わるべきだと思っています。死の宣告を受けた人への関わり。死別の悲しみへの対応。自殺や死に関する相談や学習。お葬式も、別れの儀式の会場として、老病死を見つめる場として、仏様との出遭いの場として、まだまだ工夫の余地があります。
 人はめったにない恵みに出合った時、幸せを感じます。逆に、自分がめったにないほどの逆境にある時、ごく当たり前のことに感動します。めったにないことを追い求めるか、当たり前のことに感動できる自分を求めるか。日本は、めったにない新しいことばかりを追い求め過ぎてきたようです。
(中略)
本当のものは、追い求めるものではなく、静かに合掌する中に見えてくるものなのでしょう。
老人を大切にする。それは私の心を大切にすることです。優しさや慈しみは、弱い存在によって呼び起こされます。弱い、壊れそうな、小さな存在によって、優しさやいたわりの心が生まれていきます。また人に優しい社会も、社会的な弱者によって形作られていくのです。
 老人には痴呆症の人もいます。痴呆は決して不幸なことではありません。本当の不幸は、痴呆者を受け入れることのできない社会であり、人の心なのです。
 そして大切なことは、慈しみの心は、他人ばかりでなく、ありのままの自分を受け入れていく心なのです。老人によって慈しみの心が育てられ、その慈しみによって自分が救われていく。
 お年寄りを愛すること。それは私を愛することなのです。社会的な弱者は弱者のままで、大切な役割を持っているのです。
大切なものとは、「おかげさまで」という自分以外のものに対する感謝の心であり、自分を主張しないことに美徳を感じる精神風土です。
 自己主張をしないことに美徳を感じる。この日本的な強要は、決して消極的な生き方ではありません。むしろ万物の中に自分を見いだし、自分の中に万物を感じていくダイナミックな生き方です。
 死別という人生の岐路に遭遇し、生活は一変します。しかし生き方も一変する人は案外少ないようです。
 Aさんは生き方が変わったお一人です。六歳の愛児との死別。両親の目前での交通事故。
(中略)
 生き方が変わり、人生観が一変したといいます。ある日、「あの子は、何が大切かを教えに来てくれた仏様かもしれません」と言われました。その死を無駄にしない。それが亡き人への最高の思いやりです。
 私がこの世から息が切れる。その最後の一息まで、ご一緒してくださっている仏様。その仏様を実感し味わっていける人は最高の友を得た人だとお経にあります。
 相手の痛みを自分の痛みとして感じる。そうした感性は、仲間意識や同胞感の上に成立します。
(中略)
 仏教は個人のものです。しかし個人の利益を越えた、宇宙的な広がりのある意識を問題としています。我他彼此という閉ざされた枠組みを越えて、相手の痛みを自分の痛みとして感じる。これが仏さまの境地です。仏さまを大切にするとは、宇宙的に広がる仲間意識を大切にすることでもあるからです。
仏の愛は、自分と他人との区別を持ちません。求め合う必要がないのです。常に私の闇を照らす光として、私とともに歩み続けてくださいます。
 毎月、築地本願寺を会場として「がん患者・家族語らいの集い」を開催しています。この集いは、病気を治すこと、病気に打ち勝つことを目的とした集いではありません。治ること、打ち勝つことを目的とした会ばかりなら、死に直面し、死を死を受容した人の行く場がありません。病人や死は命の姿です。その命の姿を偽ることなく見つめ、その中で安らぎ、語らい、出会っていこうとする集いです。
 仏教では迷いの根本が分別にあると説きます。「分」も「別」もわけるということです。比較対照して優劣をつける思考パターンのことです。
子どもの純粋さは経験というフィルターを通さないことから来る新鮮さなのでしょう。「いのち毎日あたらしい」。当たり前のことですが、大切なことです。




Filed under: ★仏教  タグ: , , , , , , , , , , ,   charlie432 13:03  Comments (0)

Best Movie of the Year 2011 (2)

今年撮った動画のベスト(その2)です。

(その1)はこちら



日本にいると「アイルランド英雄」と言われても、どの位なのか分かりにくいものですが、7月に実際にロンドンに行ってその人気ぶりを実感したのが Thin Lizzy です。

High Voltage Festivalの初日、別のステージでのアーティストが終わった後、急いでメイン・ステージのThin Lizzyのところへ行くと、立錐の余地のない混雑ぶりでした。

そこで、VIPチケットを買った人のみ入れる「GRANDSTAND SEATING」エリアを上がって撮ったのがこの映像↓です。後ろ歩きで上がって行ったので、最初は激しく揺れ、見苦しくてすみません m(_ _)m


Thin Lizzy
@High Voltage Festival (1)


http://www.youtube.com/watch?v=UcQpW6EXq-U

一画面ではとても全景をとらえきれないほどのオーディエンス。おそらく、東京ドームの2~3個分は人が集まっていたのではないでしょうか。

(続きを読む…)

[Movies] Thin Lizzy @High Voltage Festival, July 23, 2011

Some may say that this is not Thin Lizzy without Philip Lynott. Actually I’ve got that kind of comment on this movie. I know Phil and Gary Moore are the greatest musicians. So, It’s not that I don’t understand saying "This is not Thin Lizzy", and I’d had a same feeling before I watched their stage.

But after the show, I changed my opinion. It was really great performance!! Especially, I loved Ricky Warwick’s vocal style as well as John Sykes or John Norum. I felt the great respects for Phil from Ricky.

Though REAL Thin Lizzy must be better than this.

Anyway, I was doubtlessly convinced that Thin Lizzy has been the most beloved band in the U.K. I’m glad if the films below prove that.

By the way, I bought the VIP ticket, so I could climbed up to the highest position of the GRANDSTAND SEATING. It was a magnificent scene from there!!

フィル・ライノットのいないシン・リジィってどうなの?と最初は思っていましたが、実際に生で観て考えが変わりました。「本物」はこれ以上に違いないでしょうが、今のバンドも非常に素晴らしかったです。
特にリッキー・ワーウィックのヴォーカルはジョン・サイクスやジョン・ノーラム同様にフィルへのリスペクトが強く感じられ、良かったです。
オールドファンからはこちらに「これはシン・リジィじゃない」と書かれてしまいましたが、そう書きたくなる気持ちも分からなくもありません。何せフィルやゲイリー・ムーアは偉大すぎです。
いずれにしてもシン・リジィは英国にて非常に愛されているバンドであることがよく分かりました。下の動画を見て感じてもらえたら嬉しいです。

ちなみに今回、VIPチケットを買ったので、GRANDSTAND SEATINGという特別席の一番高い所から撮りました。その眺めは圧巻でありました!

Thin Lizzy Concert at High Voltage Festival, London, England Setlist on July 23, 2011
  1. Are You Ready
  2. Waiting For An Alibi
  3. Jailbreak
  4. Dancing in the Moonlight (It’s Caught Me in Its Spotlight) (with Michael Monroe)
  5. Emerald
  6. Whiskey in the Jar
  7. Cowboy Song
  8. The Boys Are Back In Town
  9. Rosalie (Bob Seger cover)
  10. Black Rose

Thin Lizzy at High Voltage Fesrival (1)


http://www.youtube.com/watch?v=UcQpW6EXq-U 

(続きを読む…)

    2012年5月
    « 4月    
     123456
    78910111213
    14151617181920
    21222324252627
    28293031