とどろき ~ 平成19年11月

『下流社会』という本が、良くも悪くも話題になったからでしょうか、「格差社会」という言葉をよく聞くようになりました。“1億総中流階級”という時代は過ぎ、「勝ち組み」「負け組み」という二極分化が進んでいます。
 しかし、どんな境遇に生まれようと、どんなに社会が変わろうと、全人類に平等な事があります。それは1日は24時間であること、そして1日生きたらもうその日は繰り返すことが出来ないということです(相対性理論によれば、タイムマシンが、、、という話は抜きにして)。
 世界の二大聖人、三大聖人と言われるとき、必ず名前の挙げられるお釈迦様は、悉達多太子(ゴータマ・シッタールタ)すなわち王様の息子として生を受けました。  幼少の頃から聡明で運動も万能、家庭教師が罷免を申し出た程だと言われます。才能にも、地位・名誉、財産にも恵まれた悉達多太子、今の時代を生きていたら超勝ち組み、セレブな人種に属する事でしょう。
 ところが、そんな悉達多太子にも大きな悩みがあったのです。
 ある時、虫をついばむ鳥が、さらに強い鳥に襲われるのを見て、自然界の弱肉強食の現実を知る。 「これは動物の世界だけのことだろうか」
(中略)
 奴隷は市民に使われ、その市民に武士は権力を振りかざす。武士の中でも王族が最も強いが、常に大国の脅威にさらされている。弱者は虐(しいた)げられ、強者だけが生き残るのは、人間界も全く変わらないではないか。 「では、強い者は本当に幸せなのか」  金や権力がなければ苦しむが、有れば奪われはしないかとまた苦しむ。有っても無くても、苦しんでいることに変わりはない。世の矛盾を感じ、変わらぬ幸せがどこかにないものか、幾日も考え込まれる日が続いた。
 また、「四門出遊」のエピソードは有名です。  気晴らしに城の東門を出ると、城内では見た事のない人に太子は遭遇します。顔にシワが寄り、歯は抜け、腰は曲がって杖をついて歩く老人です。「ああ、私は今は若く体力はあるけれど、やがてあのように衰える、老苦に合わねばならないのか」。太子は嘆きました。  また、南の門を出ると、道端でうめき苦しむ病人に出会います。「健康な体も、いつ病に襲われるか分からない」。  西の門を出たときは、葬式の列に出くわします。「生あるものは、必ず死に帰す。私もいつか死んで、あのように野辺送りされる日がくるのか」。  人間として絶対に避けることの出来ない、老・病・死の苦しみを知ったのです。  最後、北の門を出たとき会われたのは、法服姿の修行者でした。このとき以来、悉達多太子は老・病・死に直面しても変わらない幸福を求めたいと強く願われるようになったのです。そして、、、
 ある日、意を決し、父王の前に手を突いて出家を申し出る。王は驚き、 「お前はわしの跡を継いで、この国を治めねばならんのだぞ。何が不足でそんなことを言いだすのだ。望みは何でもかなえてやる。だから、城を出て行くなどと言わないでくれ」。 「父上、それでは申しましょう。私の願いは三つです。  一つは、決して老いない身になること。  一つは、決して病にかからぬ身になること。  そして、決して死なない身になること。  この三つの願いをかなえてくださるならば、出家を思いとどまりましょう」。 「ばかな!何と無茶なことを言うのだ。そんなことできるものか」。  父王はあきれて、その場を立ち去った。
(中略)
 父王は、太子が怏々(おうおう)として楽しまない様子を見て、時節に適した四季の御殿を建てて、500人の美女をかしずかせ、昼夜歌舞を奏して太子を慰めようとした。 「私の考え過ぎなのか?この美しい女たちといれば、悩みも晴れるのかもしれない……」。
 戯れの数年が過ぎた。
 ある真夜中。ふと目を覚まされた太子は、周りを見渡して驚愕する。500人の女たちが、昼間の美しい容姿は見る影もなく形を乱し、眠りこけていたのである。 「ああ、だまされていた。この女たちの醜い姿こそ、本当の人間の姿なのだ」。  もはや居ても立ってもいられない。今こそ出家の好機なりと決断なされた。
 時に悉達多太子29歳、2月8日の事でした。
 そして、勤苦6年、35歳12月8日。
 厳しい修行の末、悉達多太子は「仏」という最高無上のさとりを開かれ、仏陀釈迦牟尼世尊となられたのです。  以後、80歳でお亡くなりになるまでの45年間、「老・病・死」がきても崩れない、本当の幸せを説かれたのが仏教だと言われます。釈迦の説法は、お弟子方によって書き残されました。それが「お経」です。その数7000巻余りにもなり、一切経と言われています。
「仏」と聞くと、死人のことを言っているように思われますが、本来は、老・病・死を超越した真理を体得した“さとり”のことを指すようです。

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親野智可等 ~ ドラゴン桜 わが子の「東大合格力」を引き出す7つの親力

 タイトルはあまり好きではないのですが、勧められるままに読んだら共感するところが結構多かったです。
 主に、小学生ぐらいのお子さんをお持ちのお父さん、お母さんを対象とした本だと思いますが、何も受験や子育てに限った話ではないと思います。会社なら部下や後輩に対し、また自分自身の向上意欲を如何に維持し、高めてゆくかのヒントになるのではないでしょうか。大人も子供も、基本的なところは変わらないと思います。

 本書の冒頭には、
 漫画『ドラゴン桜』は私たちに次のようなメッセージを送っています。
①高いモチベーションをもって ②合理的な勉強方で ③努力を継続すれば、 ④だれでも学力を高めることができる
(中略)
 そしていま、実際に子供を育てている親のみなさんにも、このメッセージはたいへん有効です。親がこのメッセージを活用する場合は、
①子供に明確な目標をもたせて、 ②楽しく、無理のない勉強法を(私はこれを「楽勉」と呼んでいます) ③日常生活のなかで継続すれば、 ④どんな子供でも伸びる
とあります。当たり前といえば当たり前なのですが、④の結果のみを求め、①~③を忘れてしまっていることは意外に多いかもしれません。勉強嫌いな子に「勉強しなさい」と言ったり、不登校の子を無理やり学校に行かせたりするのはその典型でしょう。
 勉強に限らず、なにかを遂行しようとするとき、最も大切なことは自発的・能動的な動機付けだと思います。他人から強制されたものは「やらされている」という意識があって、ちょっと困難があると「○○のせいだ」と苦痛を感じ、効率も落ちる、そしてますます嫌いになる、という悪循環に陥ります。  一方、自分の「やりたいこと」「好きなこと」は、楽しく学ぶことが出来るので、少々のことで挫けることはなく、気づいたら成長していた、ということにつながります。  例えばGoogleの職場といったら、自由にペットを飼ったりゲームが出来たり、社員食堂は無料で豪華メニューだったりと、創造力を最大限に引き出す社内環境に驚かされるのは有名です。
 知らず知らずのうちに子供を「賢く」育てる方法、子供が楽しく学べるように親としてどうサポートしてやればよいか、本書では「楽勉」こそ真の勉強と主張しています。「楽勉」とは、“ひとことで説明すると、子供が日ごろの生活や遊びのなかで、ラクラクと楽しみながらできる勉強”であり、たとえば次のようなことが例示されています。
・歴史漫画をよませる ・テレビの横に地図を置く ・ことわざカルタで遊ぶ ・ペットボトルや牛乳パックで水のかさの実験をする ・プラネタリウムに行く
 これらの遊びは「なぜ?」という好奇心や、「ここをこうしたら」という想像力、創作意欲を刺激する楽しみがあります。本来、子供にはそういう遊び心が備わっているもので、それを殺すも伸ばすも大人の意識にかかっているのだと思います。好きなことを徹底的に調べているうちに博学になったさかなクンも、母親の理解があってのこと、と紹介されています。
 机の前で座って基本的な事柄を頭に「詰め込む」ことも、大事なことだとは思います。ただ、①の「明確な目標」が抜けてしまったら、どんな努力も水泡に帰してしまうことを知っておくべきだと思います。 「ゆとり」と「詰め込み」のバランスを見極め、子供も大人も、楽しみながら成長してゆきたいものです。
Links: 親力で決まる子供の将来 親力診断テスト 本を読もう!!VIVA読書! 黒猫ぼのぼの読書日記 国会議員ドットコム

目次: 第一章 「親力」が子供の将来を決める! 第二章 「好きなこと」でしか子供は伸びない 第三章 「地頭」をよくするために親にできること 第四章 「楽勉」が東大合格の“素質”を育む 第五章 ここがちがう!「伸びる子」の生活習慣 第六章 ある日突然、劇的に成長する子の共通点 第七章 「報酬」を与えてはならない

陰陽座 ~ 夢幻泡影

 2004年、5枚目のアルバムです。漢字が難しいですが、出典は『金剛般若経』、「むげんほうよう」と読み、“夢と幻と、泡と影。人生がはかないことのたとえ”という意味だそうです。
 これに限らず、陰陽座(おんみょうざ)のアルバムは『鬼哭転生』『百鬼繚乱』『煌神羅刹』『封印廻濫』『鳳翼麟瞳』『臥龍點睛』『魔王戴天』などと、まるで京極夏彦シリーズみたいです。と思って調べてみたら、手塚治虫さんの作品をテーマにしたものが多いようです。 「妖怪へヴィメタル」を標榜とし、平安装束風ステージ衣装を身にまとって演奏するスタイルは独特ですが、楽曲的には IRON MAIDEN や JUDAS PRIEST、HELLOWEEN などを思わせる正統派です。和音階を取り入れているバンドは他にもありますが、特に陰陽座の場合は使い方が効果的で上手く、他のバンドと一線を画してると思います。  美しいツインギターと、表現力豊かな2人のヴォーカルも魅力の一つでしょう。
夢幻 ~ 邪魅の抱擁

 古来、日本人は無常観が強いのだと思いますが、『夢幻泡影』の名前どおり、もののあはれを感じさせます。特に(9)「夢虫」には泣かされます。艶麗な黒猫さんのヴォーカルが美しすぎます。  あと、(6)「輪入道」のヴォーカルは都はるみさんかと思いました。メタル風、演歌風、他のアルバムではアイドル風と歌い分け、語りもこなす黒猫さん、かなりの実力者かと思います。こういうヴィブラート(というかコブシ)の効いたヴォーカルは良いですね。少し長いですが、こちらインタヴューです。
【おまけ】IRON MAIDEN の名曲をカヴァー
Cross Purposes
 ちなみに、このアルバム、ジャケットがBLACK SABBATH の『Cross Purposes』とそっくりですが、どちらもイラストから受けるイメージどおり綺麗なメロディが収まっている2枚です。続けて聴いてみると面白いかも知れません。


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