RHAPSODY ~ Symphony Of Enchanted Lands

 数ある RHAPSODY のアルバムの中で、最もジャケットのデザインがダサイと思われる2ndアルバムですが、②「Emerald Sword」圧倒的な人気を誇っています。サビのコーラス(合唱)はワーグナー『ローエングリン』を思い起こさせ、非常に印象深く耳に残ります。他の曲も総じて高水準の楽曲を保っているだけに、ジャケットの悪さだけが唯一残念に思います(一方、Symphony of Enchanted Lands II は素晴らしいですがね)。
 1stアルバムから明確なこのバンドの方向性は、好き嫌いがハッキリ分かれるところでしょう。「クサメタル」と小馬鹿にしている人も少なくないようですが、オペラなどのクラシック音楽、映画のサントラ、ゲームミュージック、ファンタジー、トラッド……などが好きな人は、1stや、続く3rd、またそれ以降も続けて聴きたいところです。「どれも同じに聴こえる」という意見もありましょうが、通しで聴くと微妙に成長していることが分かると思います。この2ndは、ギターやベースが控えめで、オーケストラの演奏が前面に出ているのが特徴と言えるでしょうか。
 ①「Epicus Furor」、冒頭数秒を思わずブルックナーと勘違いしたほど、大作を予感させる出だしにワクワクします。2曲目へつながる厳かな流れが素晴らしいです。  ②「Emerald Sword」は前述したとおり、充実の傑作です。  ③「Wisdom of the King」は、バロック音楽の室内楽を思わせる静かなイントロに続き、陽気なスピードナンバーへと展開してゆきます。2分40秒あたりからのストリングスはノーテンキに愉快な感じで、『サザエさん』のBGMに使われても違和感がないのでは?と思ってしまいます。中島君花沢さんの下校風景を思い出してしまうのは私だけでしょうか?  ④「Heroes of the Lost Valley」は次曲につながる短い曲で、SEや語りがメインです。  ⑤「Eternal Glory」、勇壮な行進曲風オーケストラに始まる7分に及ぶ曲です。緩と急、オーケストラとバンド、古典と現代などがうまく調和してドラマチックな流れを展開しています。  ⑥「Beyond the Gate of Infinity」は風の音や獣の鳴き声のSE、怪しげなキーボードに始まり、不気味な感じが出ています。魔王の宮殿に侵入してゆくようなイメージでしょうか。  ⑦「Wings of Destiny」。美しいバラードですね。  ⑧「Dark Tower of Abyss」。う~む、J.S.バッハのチェンバロ協奏曲でしょうか。ゲーム音楽っぽいですが、同時にアニメ音楽にも使える曲だと思います。  ⑨「Riding the Winds of Eternity」は雄大な感じの始まり方がシューマンの交響曲を思い起こさせます。この曲に限ったことではありませんが、伸びやかなハイトーン・ヴォーカルが気持ち良いです。  ⑩「Symphony of Enchanted Land」。アルバム最後を飾るにふさわしい13分の大曲です。ナレーション、ピアノとオーケストラから、荘厳なオルガンをバックに始まるヴォーカルに引き継がれ、この先どう展開するのか?と高揚感高まるイントロには思わず手に力が入ってしまいます。続いて民族音楽的雰囲気に転じ、大合唱を経て、①のフレーズが再現したかと思ったら美しい女性ヴォーカル……そしてまた民族音楽的フレーズへ。これはもうオペラですね。最後、凱旋行進曲風メロディが提示され、中世を思わせる弦楽器と笛の音色がフェードアウトする終わり方は、聴き手の関心を否応なしに次のアルバムへと向かわせます。
 ギターってソロ以外に出てきたっけ?という印象の2ndアルバムでした。3rdはこれより少しメタル色が強いかと思いますが。

(関連) 薄闇の狂詩曲 Sink HR/HMの旅 Golbnikufesin (N.F.B.) 鴉の内臓 鋼鉄龍の咆哮 Melodic Power Metal メロディックパワーメタル RIFF RAFF このCDを買え!

アーシュラ・K.ル=グウィン ~ ゲド戦記

ゲド戦記1 I  影との戦い
ゲド戦記2 II こわれた腕環
ゲド戦記3 III さいはての島へ
ゲド戦記4 IV 帰還
ゲド戦記5 V アースシーの風
 一般には児童文学とされている『ゲド戦記』ですが、大人でも相当の集中力をもって読まないと、読破できないのではないかと思いました。自分は、理解不足のところが多いので、読解力が小学生レベルなのでしょうか。巻末の対象年齢には小学5年生以上と書いてありましたので…… (-。-)
 最初の3巻が、1巻目冒頭に「エアの創造」と記された、
Only in silence the word, only in dark the light, only in dying life : bright the hawk’s flight on the empty sky.
ことばは沈黙に 光は闇に 生は死の中にこそあるものなれ 飛翔せるタカの 虚空にこそ輝けるごとくに

を主題として書かれています。「アースシー」という、ファンタジーの世界にドップリはまれば、面白く読むことが出来ると思います。
 邦題は『ゲド戦記』ですが、ゲドが実質的に主役として活躍するのは1巻目の「影との戦い」のみと言えるでしょう。それ以降は、アレンやテナー、テルーなどが中心となって話が進んでゆきます。ゲドは1巻目で、すでにひどく傷つき、話が進むにつれ、どんどん力を失ってゆきます。やがては、平穏に家庭を守る一人の平凡な人間のように描かれてゆきますが、これがフェミニストのル=グウィンさんの理想の男性像なのだろうか、とも思いました。
 最初の4巻を清水真砂子さんの訳で、「アースシーの風(The Other Wind)」を原文で読んだのですが、とても児童文学とは思えない、奥深さ、難解さを感じました。「生と死」「若と老」「男と女」「静と動」「均衡と不均衡」など様々に考えさせられました。
 啓蒙的な色合いが強いと思います。たとえば、第1巻『影との戦い』では、ロークの学院で勉強中の少年ゲドは、自分の力を見せつけるために、学院で禁止されていた、死者を呼び戻す魔法を使ってしまいます。その結果、死者の霊と共に「影」なるものをも呼び出してしまい、その影に脅かされることとなります。やがて師匠オジオンの助言により、勇気をもってその影と対峙することになるのですが、「影」とは一体何か、「生と死」について考えさせられました。  生死といえば、5巻目「アースシーの風」で、先立たれた妻が毎晩夢の中で現れてくるまじない師の苦悩が描かれていたのも印象的でした。  また、全編通じて、この作品ではあまり魔法が使われていないように感じました。魔法とは(現実世界に譬えるなら、科学技術に当たるのでしょうか)、あくまでも公益に使うべきであり、私利私欲のためにつかうと大きなしっぺ返しがやってくるぞ、という暗示なのかもしれません。

 宮崎吾朗さんの映画は賛否あるようですが、観ていないのでよく分かりません。
 ところで、「アースシーの風」の装丁は、まるで YNGWIE MALMSTEENSTRATOVARIUS を合わせたようですね。RHAPSODY でもよいですが、、、


(参考) 『ゲド戦記1 影との戦い』 ル=グウィン 『ゲド戦記2 こわれた腕環』 ル=グウィン とにかく・・・笑っとけ!日記 晴読雨読ときどき韓国語 帰還─ゲド戦記4─ アーシュラ・K. ル・グウィン(清水 真砂子訳) BLUEPIXY日記 「ゲド戦記 帰還」 ル=グウィン 清水真砂子訳 帰還 ゲド戦記 最後の書 『ゲド戦記5 アースシーの風』 ここから アースシーの風─ゲド戦記5─ アーシュラ・K. ル・グウィン(清水 真砂子訳) 「ゲド戦記Ⅴ―アースシーの風―」 [本]ゲド戦記Ⅰ影との戦い・ゲド戦記Ⅱこわれた腕輪 [本]ゲド戦記(続き) 岩波書店児童書編集部だより ゲド戦記Wiki

RHAPSODY~Legendary Tales

Legendary Tales
 イタリア出身の驚愕のバンド、RHAPSODY (2006年7月14日、著作権及び商標の問題により、Rhapsody of Fireに改名しましたが)の記念すべき1stアルバム。楽曲的には、ANGRAバッハヘンデルテレマンなどのバロック音楽を加え、BLACKMORE’S NIGHT 的な、トラッドソングを混ぜたような、極めて完成度の高い、芸術作品。チェンバロや金管・木管楽器、弦楽器なども多用しており、クラシックファンとロックファンの心を同時にわしづかみにすること必至です。初めて聞いたとき、かつて VIPER の Theater of Fate を聞いたときのショックが蘇りました。「そうそう、これだよ、これ!」といった感覚でしょうか。ジャケットの絵も結構好みだし。
 まず、イントロからして、バッハのオルガンを思わせるキーボードの上にオルフの「カルミナブラーナ」的な、荘厳な混声合唱。やがて、一呼吸あって、伸びやかなハイトーンヴォーカルが現れる。そして、ギターのリフが始まって快感の疾走チューンへと……「お約束」というか、この手の音楽ファンにはたまらない“黄金律”ですな。その後、2曲目、3曲目……と進み、最後、「2ndへ続く」というように、静かに終わるのです。
 そう、4枚のアルバムで「Emerald Sword Saga」なるファンタジーを完結させる予定で始まった、1stアルバムがこれなのです(結局5枚になりましたが)。いきなりこんな完成度高くて、この先どうなるのだろうか、と不安に思ったファンもあったようです。残念ながら私はリアルタイムで体験できなかったのですが、通しで5枚聞いた時は、腰抜かしましたよ。彼らはただ者ではないです。
 イントロ10秒でノックアウトされた方、この先、壮大な狂詩曲の世界に引き込まれることでしょう。  まだ、聴いたことのない方は、1st → 2nd → 3rd → …… と聴かれることをオススメ致します。
 世の中には凄い人達がいるもんだ、とつくづく思いました。

(参考) http://www.hvymetal.com/album/101.html http://www.xametal.net/impressions/view/264 http://yaplog.jp/lunaismy/archive/31#tb kreuzhakenさんのブログ 北の大地のBIGなお話 Taroさんのブログ

Filed under: RHAPSODY  タグ: , , , , , , , , , , , , ,   charlie432 23:55  Comments (0)
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